ノンフィクション
この世界を構成する物質の、何百分の、何千分の、何万分の、何億分の一にも満たないもので、人は殺せる。例えば、感情とか、笑顔とか、未来とか、言葉とか。失ったものを失ったものと見なした瞬間、人は死んだようなもの。血まみれの傷口も、幾度と蘇る記憶も、その痛みさえあれば、人は生きている、と実感できる。そして同時に、死んだようなものだ、と実感する。夜の笑い声に耳を傾ければ、きっとわかる。あの娘も、私も、僕も、君も、みんな死んだようなもの。でも、それでも心臓は動いているし、眠っても、いつかは必ず目を開く。生きている。そして、死ぬ。この世界を構成する物質の、何百分の、何千分の、何万分の、何億分の一にも満たないもので、人は死ぬ。仮に誰かが死んだって、この世界は回り続ける。そんな残酷な世界で、当たり前のように生きている私たちは、きっと心の底から残酷な存在。
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