第42話「大将軍ガリオ、ただ認めてもらいたくて」~ストーリー構想など~

・パーフェクト・ドラグーンとマーゼストが残存勢力を駆逐している頃、ゼルガから天羽院がどこかの拠点へ逃亡しているとの報せが届いた。そんな折才人はレジスタンスの救出のためにスフィンストで乗り込んだ拠点には秀斗の姿があった。彼は逃げようとしない秀斗に対して玲也に自分を探させておいて、ここであんたが犬死したら洒落にならないじゃないですかと突っ込む。しかしその折に天羽院の親衛隊が秀斗を突き止めることが出来たと包囲して才人とイチごと彼の手に落ちてしまう。天羽院は3人を連れて潜水艇で逃亡。彼はその気になればもうすぐにでも秀斗を仕留めることが出来るとほくそ笑むが、あえてそれはしなかった。なぜなら超常軍団がセントクロスの死によりほぼ再起できない状態に追い込まれ、地球への復讐は不可能と頓挫したのもあった。分かっているならば早く罪を認めて降伏するべきだと秀斗は忠告するも、それは自分のプライドからしてする訳がない、ただ犬死も嫌だとの事で彼は自分の作った最終バグロイド・バグテンバーを起動させてお前の目の前で玲也達ハードウェーザー軍団を血祭りにあげた後にお前を殺してやると宣言。最も今ウィンダスト・ウィナーがブレストと戦っている頃だと思うが……と彼はほくそ笑めば、秀斗は玲也がそこでくたばるような息子ではないと信じ続けている。天羽院は素晴らしい親子愛だ事と皮肉れば、秀斗はお前こそガリオの事をどう思っているのかと問い返す。すると彼は所詮玲也のクローン、彼を倒せると思ったが甘かったようだと……少なからずガリオへの愛を持っていないようなスタンスだった。


・そして、今ブレストとウィンダスト・ウィナーの激突が繰り広げられている。電次元フロストランチャーを放って動きを止めた所で彼は得意と思われる近接戦へ持ち込もうとしているに違いない。そしてウィンダストが狙うのはブレストの脚部とやはり想定していた通り。玲也はすぐさまカウンター・ジャベリンを射出してポールの要領で地面に突き刺して思いっきり飛び上がる。ウィンダストの頭上を取ったブレストだがニューファントムⅡからのビームランチャーが自分を狙う、すかさずアイブレッサーを放ってニューファントムⅡを破壊しようとすれば、ニューファントムⅡが分離して自分めがけて突っ込んできた。だがブレストはバイトクローでどうにか溶かされながらもパルサー・ラムを抑えながらキラー・シザースで翼を逆にへし折り、その残骸をウィンダストに向かって投げつけると、彼は電次元プラズマブレードで一刀両断にする。しかしそれは囮に過ぎないようなものでブレストのカウンター・ジャベリンを利用した膝蹴りがウィンダストの右腕の関節部を貫く。


・明らかにブレストに分がある戦況だった。玲也はガリオに対して自分に敗れたから自分を似せてウィンダストを再設計するとはクローンらしいというか……と彼を詰ると、ガリオはそれの何が悪い!と逆上しながら電次元マグマフィンガーでブレストの右手を掴んで高熱による溶解させながら体勢をウィンダストはわざと崩して馬乗りになっていたブレストをパルサー・ニークラッシャーによる膝蹴りで思いっきりブレストを突き上げて、電次元プラズマサーベルで引導を渡さんとする。これにブレストのアイブレッサーが電次元プラズマサーベルの柄を破壊。そのまま再びキラー・シザースでとびかかりながらウィンダストの胴体を真っ二つにしようとするが、ウィンダストは後転しながらパルサー・エッジで逆にキラー・シザースをへし折り、そのままパルサー・ショルダークラッシャーとニークラッシャーを駆使して後ろからブレストを貫通せんと馬乗りになる。ガリオはブレストの武器を俺が真似た、そうすれば貴様のような強い羽鳥玲也に俺はなることが出来ると豪語しながら、パルサー・ソードで背中からブレストを突き刺しながら豪語する。すると玲也は“強い羽鳥玲也“との単語に憤り、ロックが緩い右腕をパージして、速射型ニードルマイトを連射してウィンダストを怯ませる。そしてすかさず左腕でパルサー・ソードを手にして電次元ジャンプを決行。ウィンダストの背後に回ってパルサー・ソードを逆にウィンダストの右腕を切断して、カウンター・ジャベリンで胴体も貫く、さらにカウンター・ガードサークルを回転させてウィンダストの首を刎ね、駄目のダメ押しとして、カウンタ・ダガーでショルダークラッシャーのサブアームを切断する。


「いい加減俺を怒らせることは止めろ……強い羽鳥玲也とどの口が言える!俺が強い人間ではないことは俺が今までの中で一番思い知らされたんだ!ただ俺を真似て強い俺になるとかふざけたことを言うな……!!」


・玲也はガリオがクローンとして自分に固執して超えようとする事に苛立ち、思わず電次元ジャンプを駆使してまでお前を無力化しようと思ったという。だがこの戦いでもウィンダストはニークラッシャーを展開して突撃を仕掛け、玲也はまだ分からないのかと想いながらもカウンター・ランサーでウィンダストの両足を切断し、それでもパルサー・ビームを放って抵抗する彼に対して、カウンター・ヒートバンカーを胸に突き刺して沈黙させた……。


・それでもガリオは戦い続けようとするが、シーラがガリオを庇ってヒートバンカーの直撃を受けた事で深手を負ってしまった。その中で彼女がガリオに対して「羽鳥玲也の言う通り、もうお願いだから戦わないで」と戦いを止めた。瀕死の彼女の願いを受けてウィンダストは電装を解除し、この様子にブレストもまた電装を解除して玲也とニアがガリオの説得に挑む。ニアは正直ようやくだけどもシーラの頼みをあんたが聞き入れたことだけはカッコ悪くはなかったと擁護するも、ガリオはこいつでは駄目だ、所詮同じ羽鳥玲也のクローンに過ぎないのだからと逆上する。


「こいつがお前と同じ俺、羽鳥玲也のクローンだとお前はいうのか!?ニアを認めておいて、人としてお前は認めようとしないのか……⁉こいつにだって“シーラ・ベルサーチャー”という名前がつけられている!お前と同じように俺になろうとする必要もないなら、お前になろうとする必要だってない!いい加減わかれ!」


 ガリオが激昂しようとしているが、シーラから手を取って首を振られ彼は怒りをどうにか抑えると彼女は安心したかのようにガリオの腕の中でこと切れた。これにガリオが思わず彼女の名前を何度も呼ぶが返事はない。この様子に玲也はガリオがようやくクローンとして自分を固執する事から解き放たれたのかと気づいたが、同時に同じクローンとシエテだけでなく彼の理解者になる筈だったシーラを手に賭けてしまった事へ気づき、自分がウィンダストに対して容赦ない戦いを繰り広げたのは、ガリオが自分のクローンであることへ無意識に自分の至らないところを見せつけられているようで嫌悪していたのもあったのだろうかと考えていた。


「俺はガリオ・ベルサーチャー……羽鳥玲也ではない。だから父上からも見放されて、シーラも俺の元から離れてしまったのか……」


・ガリオはシーラの亡骸を抱えながら一人崖の方へ歩いていく。玲也はその様子に気づいて慌てて彼を止めようとする。お前がガリオとして新しい生き方を模索していくなら、自分だって力になりたい。シーラを仕留めてしまった償いをしたいと叫ぶも、今更お前が力を貸してもシーラは蘇ることはないとガリオは激昂して彼の足を止めんと銃を放つ。これにニアが急いで彼の手を取るも、俺の元へ来ることを拒んでおいて今更俺を救おうとしても遅いんだよ!と拒んではねのける。



「羽鳥玲也……俺はガリオ・ベルサーチャーだからお前ではない!だが俺と違うお前に強要される謂われはない!!」


・ガリオはシーラの破損個所から特殊なコードを入力したのち、自ら崖から身を投げ……彼女と運命を共にするように爆散した。バグロイヤーに栄光あれとの彼の高笑いが虚しくも響き渡り、玲也はガリオもニアのように自分をもってほしかったと思いながらも、あの時自分がシーラを仕留めることになってしまった事を激しく悔やむ。目の前のガリオが自分のクローンとの事を認めたくなかったから殺めてしまったのではないかと……。そんな悲しむ玲也をニアはそっと優しく抱きしめる。あんたに自分を認めてもらったあたしが今こうしてここにいるじゃない……と。玲也は彼女に対して必死に押し殺しながら泣いていた。今のニアは彼の頭をそっと撫でていた。


・だがガリオから天羽院らがトレントス地方から海底空母ウィニンガルで脱出を試みており、そこに秀斗と才人たちが捕まっているとの報せがあり、パーフェクト・ドラグーンは彼の親衛隊によって足止めを喰らっており、クロストとリキャストがウィニンガルを追っていた所、バグテンバーがウィニンガルを守らんとして出現したとの報せがあったという。これは言うまでもなく玲也も向かわなければならない。彼はもう少しで父の元にたどり着ける、その為にここでまだ挫ける訳にはいかない。ニアへマルチブル・シンクロードでの自力電装は大丈夫かと問えば、彼女はあたしを誰だと思っているの?と強がりながら笑顔で答えてくれた。あと少し、あと少しでこの戦いが終わる……玲也は涙をぬぐい再びブレストで出動する。

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