三十の迷路

涼月

銀紙の月を抱いて眠れ

弱さを弱さと認められずに

肩肘を張って生きてきた

それが強さだと信じていた


妥協点を見出だせないまま

より高くなっていく望みに縛られ

窒息していく自己を横目に


苦痛を苦痛として受けとめられず

まだ大丈夫だと嘯き続けて

ここまできてしまった


救いを求めて洩れる

うわごとのような懇願に耳を塞いで


偽笑の仮面に走る

無数の亀裂から目を背けて


泣き叫ぶ本心を心の奥に

隠し込んで黙殺していた

それを強さだと思い込んでいる


今も───



 〈29歳誕生日の詩〉



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