転生したら、モブキャラになりました

白兎

第1話 唐突な覚醒-めざめ-

「……レーナ……セ……ナ…セレーナ!」


…はっ!


優しい女の人の声で目覚める。


「…あら、セレーナ。今日はご機嫌ですねぇ。」


女の人は私のお腹を ぽん、ぽんと規則正しくたたいている。


うぅ~ん…。なんだか体に違和感が…。


なんだか動きにくいな…。


「セレーナ?一体どうしたの…?」


ところでセレーナとは私のことなのだろうか。


というかこの女の人は誰…?


「あうぅ…(あのぅ~…)」


………ん?


私の耳に入ってきたのは赤ん坊の声。

え、まさか私…。


赤ちゃんになってる…?!


「うあぁあぁあ!!!」

「まぁ、セレーナどうしたの?!お腹すいたのかな…」


よく見てみると、動かしずらいなと思っていた手はむにむに小さくて。


(…これがいわゆる"転生"…!)


(上手く手を使えないので)私はそっと心の中でガッツポーズをする。


…でもなんの世界に転生しちゃったんだろ…。


私に見えるのは自分の小さな手とお母さんらしき人の顔のみ。


あー私これからどうなるの?!

っていうかこの世界、一体なんのお話なんだ~?!?!?!?!


_______________

一年後…



私が前世の記憶を取り戻して約1年が経った。


私の今世の名前は

セレーナ・アルドリア。


父は国の優秀な剣士らしく、

私の家はすごく裕福だった。

母はなんと、公爵家の娘らしい。

よくそれっぽいおじ様方が家を出入りしていたのを見た。


そして最近、この世界はなんの世界なのか、という疑問を解消することが出来た。


その名も「星空にキスを」である。

なんともロマンチックなタイトルである。


おそらく私はその物語に出たか出てなかったか分からないほどのモブキャラとして生まれてきたらしい。


だがモブキャラとはいえ、一応きちんとストーリーは与えられている。


そう、死という、ね。


私は一応このゲームのファンだった女だ。


ふふ、それはもう何回も何回もエンディングを見ては泣いてを繰り返していたほど。


そしてそのお話の中でセレーナはちょこっと出てくる。


それはいわゆる、「悪役令嬢の金魚のフン」的なポジションである。


主人公を徹底的にいじめ倒すやつ。

まぁそれが災いして死へと向かうわけなんですが。


攻略対象は全員で5人。


セレーナの義弟である

カロン・アルドリア。


ヒロインの義兄である

アルト・コーネリス。

(ちなみにヒロインの名前はリリア・コーネリス。)


悪役令嬢の婚約者。

そして我が父が仕える王の息子

クリア・マーレスティス


ヒロインの同級生で、引きこもりな

アース・ハノルド。


あとはもう1人…えぇっと…うぅん。

あれ、4人だっけ?でも確か5人いるはず…。


まぁ忘れたから4人ってことにしておこう。


まぁヒロインの邪魔さえしなければ死ぬルートに行かなくて言い訳ですが。


でも私には、それが許されないのだ。


なぜなら悪役令嬢のとりまきという運命はどうしても避けられないからである。


なんでそんなに言いきれるのかって?

それはね、その悪役令嬢が…。


私の母の妹の娘だからである。


えぇだから小さい頃から顔を合わせなければならないわけでね。既に3回も見ましたよ。


ツンとした目元に、

幼い頃から漂わせている妖気のような…(?)気配…。


「学園に入ったらあの子と仲良くしてあげなさい」


と母から言われているかろ離れたくても離れられないのである。

万が一離れたとしたら

母も悲しむし、きっと周り(主に妹)から嫌な目で見られるのはきっと母。


で、私は少し思った。


悪役令嬢に私はなーる!

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