第14話
「……」
「というわけであんたも殺してあげるからね。覚悟しなよ」
「……あなたにそれが出来るかしらね」
「なんだってぇ!」
女はバットを闇雲に振り回し始めた。
私は避けながら機会を待った。
そしてそれはすぐに訪れた。
女が力いっぱいバットを振り下ろした際、その勢いで少しバランスを崩したのだ。
私はそれを見逃さなかった。
私はすばやく女に向かって踏み込むと、右手を女の喉もとめがけて突き出した。
「ぐぶっ」
私が右手を引くと、女の首から大量の血が噴出した。
それはまるで小さな噴水のようだ。
私の手にはサバイバルナイフが握られていた。
さっき護身用にと思ってテントから取ってきて、そのまま隠し持っていたものだ。
女は手で首を押さえて出血を止めようとしたが、そんなもので頚動脈を切って流れ出る血が止まるはずもない。
女はそれでも片手で握り締めたバットを力なく振ってきたが、もちろんそれが私に当たることはない。
やがて女は動きを止めて、地面に倒れこんだ。
――やったわ!
安堵とともに、得体の知れない恐怖心がふつふつと湧き上がってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます