第2話

もちろん警察もその威信をかけて、血眼になって捜索したのだが、山の中のことゆえに殺された人以外は誰も犯人を見ておらず、犯人のものと思しき遺留品やその他物的証拠も何一つ見つからなかった。


足跡でさえ。


誰でも出入りが自由で、防犯カメラなんてものはどこにもない。


そういった状況なので、今も犯人はのうのうと日々の生活を送っているのだ。


そんなことがあったために、キャンプ場は閉鎖されていた。


そこは本来、赤木キャンプ場という名前なのだが、事件の後は誰言うことなく赤いキャンプ場と呼ばれるようになっていた。


赤とは勿論、血の赤のことである。


それが今年に入ってから、何を血迷ったのか持ち主が再びキャンプ場を開くと言い出した。


各方面から賛否両論渦巻き、ちょっとした騒ぎとなっていたが、結局は持ち主が強引に押し切った形になった。


そんな忌まわしいところへ行こうと言うのだ。


正人は。


当然のことながら、私はできるだけ駄々をこねたが、正人の永遠に続くのではないかとも思える「でも、行くって言ったじゃん」の留まることを知らない連続攻撃の前に、撃沈してしまった。


「それじゃあこの週末にね」


そう言って正人は嬉しそうな背中を見せながら、帰っていった。


週末まであと四日もある。


キャンプに行くのも嫌だが、当日までの四日間を暗い気持ちのまま過ごすのも嫌だ。


なんでもいいから何か希望的なものがあればいいのだが。


私はその希望的なものを懸命に考えてみた。


そして思いついた。

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