トール

トールという神を知っているだろうか。

北欧神話の神の一人。

雷神・農耕神として信仰されていた神だ。


性格は豪胆あるいは乱暴と言われており、武勇を重んじる好漢であるが、その反面少々単純で激しやすいが、怯える弱者に対して怒りを長く持続させることはないと伝承されている。


そしてトールの持つ武具の一つであるミョルニルはいわゆる神具だ。

その一撃は凄まじく、その威力は全てを滅ぼす。

トールといえばミョルニル。

ミョルニルといえばトールというトールの名称の代名詞とも言える代物だ。



精霊は何かしらの生物を象る。

リーシャであれば不死鳥。

ハイネであればグリフォンと言った幻獣種であるのが大抵だろう。

しかし、トールと名乗る少女は果たしてどのような生物を象っているのだろうか。

雷の属性をもつであろう生物は世界にも多く存在する。

しかし彼女の名。

トールを冠とする名に康太、奏、リーシャ、ハイネは一瞬固まった。

「トール。下の名前はなんて言うんだい?」


トールは首を横に振り、その質問に答える。


「トール、私はただのトール」


消え入りそうな声でそう告げる少女を前に、精霊使い、精霊、魔術師達は顔を見合わせることしか出来なかった

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