第11話

5月11日 大阪大学講師、女子ジーンズ事件



ジーンズメーカーの反骨



下記を調べてたら、ジーンズの老舗リーバイスの粋なエピソードに出くわした。


1971年アメリカで上場した同社は、昨今当たり前となってるCSR(企業の社会的責任)やフェアトレード(公正な貿易。こども労働の排除とか)を重視した企業経営をいち早く行なってきたらしい。

発展途上国の契約工場で就労年齢に達していない子供が働くことのないよう、ガイドラインも策定していた。

ところが1992年、ガイドラインに違反している契約工場があることが発覚。


このとき同社はどうしたか?


リーバイスはこの契約工場のある地域に学校を作り、子供たちに勉強させた上で、就労年齢に達したら雇用するという方針を打ち出したのだそうだ。

カッコイイやん。


ところが株主らからこういうクレームが出た。


「学校を作る資金があるなら、株主に還元すべき」


……。


でもってリーバイスはどうしたかというと、


創業家がMBO(Management Buy Out=経営陣買収)を行なって上場を廃止、他者の口出しが出来ないようにしたのだそうだ。


ちょっとかっこよくね?


ちなみに日本のリーバイスは上場廃止してないそうです。



5月11日 大阪大学講師、女子ジーンズ事件



1977年。

大阪大学のアメリカ人講師が、ジーンズ姿の女子大生の受講を拒否。


「作業着であり、女性にはそぐわない。

 もっとエレガントであってほしい」


という理由で教室から締め出したのだそうな。


「女性蔑視」

「ジーンズは既に日常着である」


みたいなふうに事態は展開し、最終的にアメリカ人講師が大阪大学を退職する形で収束した。


調べてみるといろんな記事がある。

アメリカ人講師は阪大非常勤講師であるとともに神戸女学院大学では教授だったのか?

その後教授になったのか?

遅れて教室に入ってきたから叱ったのか?

学生が3年で英米文学でと書いてあいる文章もある。

出ていけと言われた彼女が

「Why?」

と問いながら去ったとか…

書いた人はその場にいあわせたんだろか?

そして事件はその件で起こったのではなく、追い出された学生の友人らが、後日抗議? に行った際、その中の一人がジーンズ(ジーパン)をはいていたので、講師はこう言ったらしい。


「男子学生がズボンをはくのは習慣だろうが、ヤングレディーの場合は不誠実である。

 ジーパン女学生とは何も話すことはない」


繰り返し繰り返し言ったらしい。

講師は敗戦間もなく来日した人で、大阪大学では週二時間の講義を受け持っていたのだそう。

以前から女性のズボン姿が嫌いなことは良く知られていて、毎年最初の講義で


①講義中はタバコを吸わないこと

②女子学生はジーパンをはかないこと

③時間を守ること


を規則として周知していたとのこと。

講義は講師の独壇場なとこあるからね。

そういうもんだ、で終わればよかったんだろうけど、70年代は若者の主張の時代だったものね。

25日には


「女性差別の発言を取り消せ」


という抗議の学生がジーパン姿で教室に押しかけ、新聞社も取材に来てしまった。

講師は英文の声明を読み上げたそうだ。


「10年前なら君達と議論したろう。

 私は老いた。

 君達の意見と合わないなら辞めるしかない」


敗戦日本の貧しいなりの素朴さが終わり、拝金主義が横行してるとも言っていたようだ。

学生の質が落ちてきたことや、お金万能のような日本には将来がないと憂いつつ、辞任したそうです。



今読んで思うのは、講師さんは“帝国”を作れてなかったのではと。

日本への思いも自分だけの感慨で、変わりゆく日本には罪はなかったのではなかったかと。

彼のイズムが浸透していたら、一回目の抗議の女子たちは全員ジーンズか全員スカート、どちらかだった筈。

まずこの方に威厳がなかったんじゃないでしょうか?

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