グランド·オープニング
深く、深く、暗く、暗く。
どこまでもどこまでも、鋼の棺桶は沈んでいく。時折吐く泡が、窓から放たれるライトに照らされて煌めいた。
棺桶──潜水艦は、海底を目指して進んでいるようだった。
ひしめき合う緑の海藻は、沈んだ建物の残骸を覆い、それが何なのかわからなくしている。そして、潜水艦はその建物に辿り着いた。
着地した衝撃で、十字に組まれた木材が、脆く崩れて砕けていく。
建物の奥には、小さな木箱が安置されていた。
潜水艦から伸びたマニピュレータは、眠る子供を抱きかかえるように、そっとその木箱を抱え込む。
──突然、暗い深海に眩い閃光が走った。
海底火山が噴火したのだ。
海の底に咲く膨熱の花は、容易く海水を沸騰させた。その衝撃は、潜水艦を軽々と吹き飛ばす。
全ては泡に包まれ、何もかも見えなくなった────
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