大柄なサンタは目をむいて、博斗=サンタを指差した。

「貴様、何者だぁ!」


「ふぉっふぉっふぉっ。みての通り、わしはサンタクロースのおじいさんぢゃよ」


「サ、サンタさん!?」

燕が目を丸くした。

「ふぉっふぉっ。もちろんそうじゃよ。他に誰がいるんぢゃね?」


「ほんとに、ほんとに?」

燕は繰り返した。

「ほんとぢゃ」

博斗=サンタも根気よく繰り返した


「最近、わしのニセモノの悪いサンタが多いようで、困っとるんぢゃよ。ふぉっふぉっふぉっ」

「そうか、あいつらは悪いサンタさんなのね!」

燕の顔が理解に輝いた。


「そう、悪い奴ぢゃよ」

博斗=サンタはうんうんと首を縦に振って繰り返した。


「もし、あの悪いサンタを倒してくれたら、わしはとってもうれしいんぢゃがなあ」

「わかった! つばめ、やっけるよ!」


「燕!」

燕を四人が囲み、桜が真っ先に口を開いた。

「いやあ、サンタさんってほんとにいるんだねえ。僕が間違ってたよ。あっはっはっ」


「でしょでしょ?」

燕はぴょんぴょんと飛び跳ねた。

「あのね、あのね、やっぱり、つばめね、みんなといっしょがいい」

「もちろん。あたし達もよ。燕がいないと、寂しいもんね」


遥の右腕がまっすぐに突き出され、人差し指がピシッと怪人を指差した。

「サンタクロースになりすまし、子ども達の夢を奪おうなんて、絶対許さない!」


五色の炎が燃え上がったかと思うと、スクールファイブの姿が現れた。

「いいかげん正体を見せなさい、ムーの怪人!」


怪人はサンタクロースの姿のまま、ビュッと飛び上がると、空中で宙返りし、着地したときには大きな雪ダルマとおぼしき姿になっていた。

「冷凍怪人、スノームー!」


「ふん。おまえみたいなみたいな悪いやつに、やられるもんか! てあぁぁぁっ!」

ブルーの狙いすましたキックがスノームーの頭に炸裂した。


「おげぇぇぇぇぇっ!」

スノームーが悶えた。


ブルーがジャンプして戻ってくると、レッドは四人に声をかけた。

「とどめよ! スクールフラッグ!」


四人が旗を送り出し、ふらふらとしているスノームーは旗に包まれ、アーケードの天井に突き当たるところまで持ち上げられた。

レッドが放り投げた旗竿がその包みを貫き、スノームーは白い爆発を起こして最期を遂げた。

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