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それからしばらくして、遥と四人は、にこにこ銀座を歩いていた。
誰が言い始めたわけでもなく、最近、五人はいつも一緒に陽光中央駅まで帰ることになっていた。
翠は陽光中央駅にリムジンを待たせるように変更していたし、由布は陽光中央駅からバスに乗るようにしているし、燕は自転車を押しながらひょこひょこと歩いて帰っている。
五人で揃っていると、なんとなく安心感があるのだ。
「必殺技、必殺技…」
遥はぶつぶつと呟いていた。
「あれなんか、よいと思いません? あまりメジャーすぎず、かつ、若々しくて、高貴なわたくしにもぴったりですし…」
翠が指差しているのは、スティックを持って談笑している二人の大学生らしい女の子だった。
「あれって、えーっと…」
「ラクロスですか」
由布が引き取った。
「うん、悪くないかもね」
遥は、スティックを振ってボールを放り投げている自分を想像してみた。…案外、絵になる。
「ラクロスということは…エネルギーをこめたボールを五人がスティックで受け渡しして、最後に怪人にボカーンとぶつけるって感じかな。五人のボールの受け渡しを敏速にすれば、敵を翻弄することもできるし、五人の誰もがボールを打ち出せるようにしておけば、奇襲もできるし…」
桜は、顎に手を当ててすでに考え事を始めている。
「いいんじゃないかな。けっこういけそうな気がする」
「おーっし、じゃあまた明日から、新しい必殺技目指して特訓よ!」
くすくすと笑っていた由布だったが、ふと笑いを止めて、辺りを見回した。
「どしたの、由布?」
由布はしばらく目を閉じて思案していたが、やがてぴたっと一つの場所を指差した。ゲームセンター、ニコニコファンタジアだ。
「あそこから、力を感じます。なにかが、います」
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