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「そっちじゃないよ、こっち。…ああん、もう、なーにやってんのさせんせ。見てらんないよ、もう」
グリーンはさっきから、あーでもないこーでもないと、運転席の博斗に指示しているのだが、なにしろ博斗にもこんな経験は初めてで、アンドロメダはふらふらと浮き沈みしながらなんとか前にすすんでいる有様だった。
「んな、うるさく言うんだったら君が運転すりゃいいだろうに?」
博斗はハンドルを切り回しながら言い返した。
「僕、運転免許ないから」
博斗は叫んだ。
「俺だって、空を飛ぶ車なんか運転したことない! だいたいなんだこれは? ハンドルとペダルででどうやって空を飛べっつーんだ!」
「科学は、努力根性義理人情だよ」
レッドとイエローはお互いに肩をつかみ合って、頭を垂れていた。
「お、おええええっ。た、縦ゆれが効くわ」
ブラックは、グリーンと博斗のやりとりを、後ろでくすくすと笑いながら見ている。
窓から半ば身を乗り出していたブルーは、目ざとく目標を見つけ出した。
「いたよー、こーえんであばれてる!」
「了解!」
グリーンはすかさず博斗の横から手を伸ばし、博斗には用途のよくわからないスイッチを押した。
なんだか、前よりもスイッチや計器のたぐいが増えているように感じるのは気のせいだろうか。
アンドロメダは、急激に車体を傾け、上空から一気に地上に向けて降下を始めた。
着陸というより墜落といったほうがよさそうである。
「!!!!!!」
博斗はハンドルに手をぴんと伸ばし、髪を逆立てて絶叫した。地面がぐんぐん迫ってくる。
「着陸っ!」
地面まであと数メートルというところで、グリーンが再び何かを操作すると、アンドロメダの車体の下部からどっと空気が吹き出し、車体の傾きを直し、ゆっくりと地面にタイヤをつけた。
「…はは、はははははは」
博斗は腰が抜けて脱力した。まったく、寿命が縮まる!
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