博斗は一同を柱の下に集め、駅員から聞き出した情報を伝えた。


「すると、その電車に張り込めば、現場に居合わせることが出来るかもしれないということですわね」

「うまく痴漢がでてくれれば、よね」

「いいじゃない。痴漢がいないんなら、こっちで痴漢をつくっちゃえば」

と桜。


「つくる? って、どうやって?」


桜が博斗を見た。


「お、俺かぁ?」


「さっき自分で言ったでしょ? 痴漢願望あるって。いいチャンスじゃない」

「痴漢のふりをしておとりになれってか?」


「そ。んで、被害者役は僕が…むぎゅう」

桜を押しのけて遥が来た。

「はい、はいっ、はーいっ、あたし、あたし、あたし」


だがその遥もタックルで突き飛ばされ、翠が来た。

「あなたじゃ駄目ですわよ。やはり男を狂わせるこの色香がなければ…ねぇ? 博斗先生?」


「ひかりさんが、いいと思います」

と由布が言った。

「五人の誰かでは喧嘩になりそうですから」


「ふむ。ひかりさんさえよければ、俺はそれでいいと思うけど」

「私は、構いませんよ」


「よし決まり。五人はそれぞれ、適当に散らばって電車に乗るんだ。まあ、あまり俺達から離れすぎず、しかも一個所に固まりすぎないようにな」

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