『DOGMA』二十代詩集

九頭龍一鬼(くずりゅう かずき)

さよならさん

いつか誕生するのであろう

かけがえなどない いとしい我が子よ

天国でもなく 地獄でもなく 地球とよばれる惑星に

なぜだかおまえは 生まれたのだよ


おまえがこの世に生まれたとき

幾億万もの人類に おはようさんをいうのだよ


いつか永眠するのであろう

はかないほどの いとしい我が子よ

天国なのか 地獄なのか はたまた虚空の世界であるのか

なぜだかおまえは 旅立つようだよ


おまえがこの世を去ってゆくとき

幾億万もの人類に さよならさんをいうのだよ


おまえはとっても怖いのかい

無限にひろがる砂漠のなかの たったひとつの砂粒みたいに

久遠にさざめく大海原の たったひとつの水滴みたいに

おまえのいのちというものが むなしいものだとおもうのかい


だけど安心してごらん

全人類が滅亡するより ひとつのいのちがなくなるほうが

幾万倍もかなしいようだよ


おまえが誕生したときに 喜んでなどくれなくたって

おまえが永眠するときに 全人類が悲しむように

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