第130話 勝つ為の方法。

 ポイントはツー・ファイブでヘレンさん達がリードしている状況は変わらず。


 そう、状況はずっと膠着したままである。ポイントを取り合えばまだ動きが見えるんだけど。


『途切れる事無い打ち合いって疲れそう〜。』

『身体的にも精神的にもキツそうですね…。』

『そう長く続くとは思いませんが。1人を除いて厳しそうな表情ですわ。』

『まぁ楽しそうにやっておるし、いいんじゃないかの?』


―パーン。

―パーン。

―スポーン。

―パン。

―パーン。

―パーン。


『天ソラ達はロブやクリアが多いね。何かあるのかな?』

『恐らくだけど、勝つ為の準備をしているんですよ。』

『ロブやクリアで勝てるものでしょうか?』

『いえ、勝てると決まった訳ではありません。』


 先輩がロブやクリアが多い事に疑問を持つ。俺が答えた内容に食いついて来たのは、ルフィス学園長だった。ロブやクリアのみで勝てるかと言う疑問に、自分なりの考えを答える。


『普通に考えて相手がロブやクリを拾わない事が一つ。まぁそれは試合を放棄をすると一緒ですし無いでしょう。ポイントを取る以外にも勝負が決まる方法があるんですよ。』

『……もしかして?』

『気が付きましたか?おそらく2人はそう考えるはずでしょう。』

『地道じゃのぉ~』

『ふむふむ。そうか。なるほどね~』


 話途中で気が付いた学園長2人だったが、先輩は分かっているか微妙だ。そこにはあえて触らない…そう、あえてだ。


―スポーン。

―パン。

―パーン。

―パーン。

―スポーン。

―パン。

―スポーン。


『ヘレンさんはドロップが多いのは何かあるんかな?』

『ん~多分ですが、試合がどう転んでもいいような立ち回りだと思いますが。』

『ふーん、皆考えてるんだね~。』


 退屈だからか、あまり興味ないのか、返答がいつにもまして適当だ。


『翔くん?何か?』

『い、いえ…。』


 勘はいつも通りと…。


『で、まとめるとどういう事?』

『つまり、魔力切れによる試合を終わらせる方法か。ドロップやヘアピンで魔力を抑えつつどちらでも勝てる算段を立てている方法かですかね。』

『それって後の方が勝てる確率は高そうですわね。』

『ヘレンにしろ、ルカにしろ計算高いからの。』


 自分で言っといてあれだが魔力切れで試合は終わらせる事って出来るのだろうか。ルカさんは部隊内で一番多いって、前にヘレンさんに聞いているし。


 普通に考えればヘレンさん達が優勢なんだけど。坂俣さんと奏人さんは、俺達と同じ異世界から来たから魔力量で勝負するには疑問があるけど。


『あのルフィス学園長?』

『何でしょうか?』

『魔力量の絶対値は変化するものなんですか?』

『そうですわね…明確な答えがないと言うのが、答えとでも言いましょうか。』

『答えが無い事が答えと?』

『ええ。これは一つの仮説と捉えて頂ければ……』


 ルフィス学園長が仮説と言って話してくれた。


 まず魔力量の限界について、現実のゲームであったようなMP的なものがない。明確に測れる何かがないからみたいだ。ゲームなんかもシステム的な何かで視覚化したにすぎないしな。正直どんぶり勘定というか、感覚でしかない。


 そこは人間の体力がどれだけあるか?と聞いていると同じことなのかと理解をする。


 相手より魔力量が多いか少ないかは未知数なんだろう。技術的に張り合うには厳しいと判断した奏人さんはその方法をとったのか。


 しかし、この世界の魔力に限らず、いろいろと知らないことが多いんだなっと気が付いた。

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