第101話 一方的な試合?
ご飯も食べて元気いっぱいな俺達は早速試合をする為に移動をした。
「よーし。早く始めようよ!私はいつでもいいよ。」
「和歌は元気ね。翔はどう?」
「俺もいつでもいけます。」
「分かったわ。あ、それと2人には1つお願いしてもいいかしら?」
ルカさんは俺達だけに聞こえるようにこそこそ話し始めた。
「2人には色んな球種を打つようにして欲しいのだけど。出来るかしら?」
「ん?私は普段から偏った打ち方してないと思うけどなぁ。」
「そう?相手が苦手そうな所攻めたり、得意なのは打たせないようにしてるわよ?そうなると必然的に偏ると思うんだけど。」
「それって主には翔くんだよね。私は…あるのかな?」
「和歌先輩は自分が打ちたいように打ってくれれば大丈夫だと思います。後はいつも通り俺がコントロールしますから。」
「そうだね。難しい事は翔くんに任せるよ。」
「はい。その時に点が取れる打ち方して下さい。」
「りょうかーい。」
「って事なので、色んな球種の事は俺がなんとかします。」
「了解よ。後は翔に任せるわ。」
話も終わって俺達はコートに入る。ローランドさんもリコさんも準備はいつでも出来ているみたいだ。
「では始めるぞ。ゲーム2ポイント先取の21でいつも通りいいか?」
「「「「はい!!」」」」
主審はきりんさんで、線審にヘレンさんとルカさん。
「では、サービスとコートを決める。ジャンケンしてくれ。」
「「ジャンケン!、ポン!」」
俺はチョキで、ローランドさんはグー。
「俺はサービスをもらうぞ。」
「はい。では俺達はこっちのコートで。」
「うむ。では始める。ラブオール・プレイ!」
まずは相手のサービスからだ。
俺は左手を背中に回し、人差し指を立てる。
―スッパーン。
―ズパァン!
「にゃ!?」
「サービスオーバー、ワン・ラブ」
「おいおい。いきなり強烈なのきたな。」
「びっくりしたぁ。」
よし。まずは先制する事が出来た。
次は先輩のサービスから。
俺は先輩の動きを見て、それに合わせるだけ。
―スッパーン。
「俺だって負けないぜ!」
―ズバァァン!!
「それは読んでるよ。は!」
―スパ!
「ツー・ラブ」
「ちょっとロー。打ったらちゃんと戻る。反対側がら空きだったでしょ。」
「うっ。すまんリコ。」
相手は味方のミスもしっかり指摘している。俺達の方はお互いに目を合わせるだけ。
2ポイント取った先輩は今度は右からリコさんがサービスを受ける。
―スッパーン。
和歌先輩はそのまま右に、俺はそれに合わせて左に動く。
―スパ!
―スパ!
リコさんが正面に返したドライブをそのまま正面に返す先輩。
―スパ!
それをまた正面にドライブで返すリコさん。
―ピン。
「のわぁ!」
目の前にヘアピンで返されてリコさんはロブを上げた。
―パン。
―ズパァン!
「スリー・ラブ」
「むぅ。失敗したぁ。あんなロブじゃ打たれちゃうよね。」
「ドンマイだ。次取るぞ!」
「……。」
―スッパーン。
―ズバァァン!!
サービスからのローさんのジャンピングスマッシュ。それを屈んで避ける先輩。それを読んでいた俺はそれをローランドさんの左手側に返す。
―パン。
「む!おっと。」
―パーン。
―ズパァァン!!
「フォー・ラブ」
「っく。ちょっとのミスも逃しちゃくれねぇな。」
先輩がサービスを貰ってから、攻防は…長くは続かなかった。
―ズパァン!
「トゥエンティ・ラブ・ゲームポイント」
「はぁはぁ。ここまで強いのか。」
「ふぅ…ここ抑えるよぉ。」
―スッパーン。
―ズパァァン!!
―パン。
先輩のサービスをまたジャンピングスマッシュで返すローランドさん。
それをロブで同じところに返す先輩。
「まだまだ!」
―ズパァァン!!
―ピン。
今度はそれをヘアピンで前に落とす。
「せぁ!」
―ピン。
―ピン。
リコさんはそれにしっかり反応して拾う。
それを反対側にヘアピンで落とした先輩。
―パン。
―パーン。
リコさんがロブで後ろに上げた羽を俺はクリアで返す。
ただスマッシュに合わせ難いドリブンクリアで。
「っち。届け!!」
―パーン。
何とか届いて返ってきたが、打ち込むには絶好球。ローランドさんとリコさんがスマッシュを警戒したのか、ぐっと構えているのが見えた俺は…。
―スポーン。
「「んな!?」」
「ゲーム!トゥエンティ-ワン・ラブ」
2人の僅かな隙間にドロップを決めた。
―パァァン!
ゲームを取った俺は先輩とハイタッチをした。
いつもより体が軽いし、相手が良く見える。
いつも以上に俺達は絶好調だった。
1ゲームは失点無しで進める事が出来た。その内容にローランドさんとリコさんは…。
「…ぜってぇやり返してやるぜ!」
「このままじゃ…終われないよ。ううん。終わらせないから!」
やる気が出たみたいだった。
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