第99話 話が通じる?
「よう。調子はどうだ?」
『お前は本当に俺の言う事が分かるのか?』
「あぁ。何でかはよく分かんないが。」
『そ、そうか…。』
言葉が通じてる驚きからか、少し警戒をしているが襲ってくる事は無さそうだ。
「ねーねー。この子は何て言っているの?」
「本当に言う事が分かるのか?って言ってます。」
「そか。普通は言葉って通じないのがこっちの世界でも一緒なんだろうね。」
「ですね。俺は和歌先輩とペティットの事があるから動揺は無いですが。」
「後ろの子達の具合はどうなの?」
先輩が豹と同じ目線になり尋ねてみた。それに対して豹は俺を見てくる。
『この娘は俺に何か言っているのか?』
「あぁ。後ろの子達は平気かと聞いてます。」
『傷は暫く休めば治るから平気だ。と伝えてくれ。』
「暫く休めば平気と言ってます。」
「そっか、それは良かったね。」
『気づかい感謝する。…対話出来るのは不思議だが、悪くわないな。』
豹からの敵意は感じなくなった。すると後ろからアメリさん達がこちらに来る。
豹と会話をして暫く休めば平気と伝えておいた。
「フェイスは奥に引っ込んで行ったからな。暫くはここに居ても問題無いだろう。」
「アメリ。この後どうするつもりだ?」
「ん?そうだな…このままここに置いて行くのもなんだしな。歩けるくらい回復したら、とりあえず小屋に連れてくか?」
「私は構いませんが。人の住む地に魔物を連れて行っても良いのだろうか。」
「ん〜それはこいつら次第だろう。翔聞いてみてくれるか?」
「はい、聞いてみます。」
クマさんは追い払って暫くここにいる事は問題無い事と、歩ける様になったら騎士部隊の小屋で療養をするか聞いてみた。
『それは有難い提案だが、俺達が人間の近くに居ても良いのか?』
「有難い提案ですが、豹達も人間の近くに居ても良いのか?聞いてますよ。」
「ん?別に大丈夫だろう。心配であれば双方に傷つけないとか決まりをつくるか?」
「お互いに決まりをつくるか?って言っています。双方傷つけないとか。」
『それくらいなら構わない。他に何かいるか?』
アメリさん、ツェゴさん、豹との話をまとめて決まりを作る事にした。
1、双方傷つけない。
2、命令や縛り付けたりしない。
「まぁ、そんな堅苦しいの何個もあっても面倒だからな。こんなもんだろう。」
「アメリさんありがとうございます。」
俺の言葉を理解している豹は一緒にアメリさんに頭を下げる。
ーガゥ…ガ!?
「あ。後ろの子達気づいたみたいだよ。」
ーグルゥゥゥゥ…ガゥガゥ。
「翔くんなんて?」
「ん〜後ろの豹の言ってる事は分からないです。」
『事情は説明するから、少し待ってくれ。』
豹は仲間に事情を説明して理解してくれたみたいだ。歩けるくらい回復してから、逸れていた部隊と合流した。
騎士部隊の人達は驚いたが、アメリさんが説明して、一緒にいる様子をみて問題なさそうだ。
「…2人揃って不思議なもの達だな。」
「きりんちゃん何か言った〜?」
「いや、何でも無い。翔も和歌も無事で何よりだ。」
小屋に行くと学園長が待っていた。
「皆戻ったか…ってこの状況は何なんぞ?」
「一度中で話をしましょう。他にも報告があるので。」
「そうかの。」
森でフェイスに会った事、俺が豹と話せる事を聞いた学園長。
「和歌に続き翔もか…転移した2人共が…うーむ。」
「何かありましたか学園長?」
「あ。いや、何でも無いぞ。」
「それで学園長。こいつ等を暫くここに置いてる置いときたいのですが。」
「別に構わんよ。魔物と仲良くしてはいけない決まりもないしの。」
魔物と喋れる事で少し考えていたみたいだが、すぐに切り替えていた。まぁ先輩も喋れるし、そんな珍しくもないだろうし。
さてこれで豹の事は一段落かな。軽いランニングのつもりが戦闘訓練になって。森で初めて会ったクマさんや喋れる豹と出会ったり。学園の中に居た時には無い、出会いや経験が外には沢山あるんだな。
俺はこの時初めて外の世界に興味を持ったのかもしれない。
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