第18話終末の祝祭

燔祭のほむらは燃えよ、祝祭に血は降れよ。屋根裏部屋に居を構える僕は日曜の礼拝にも参列せずに、ひとたび目にした神父をキャンバスに描く。僧衣カソックの襟元にハイジュエリーのエメラルド、ダイヤモンドが群れなして、俗悪と崇高を一身に引き受けた彼の洗礼名はヨハネ。彼は黙示録を片手に聖句を唱えながら終末の日を夢見る。キリストの誕生から二千七百年を経た今、迷える子羊たちの頭には彼らを司牧するデバイスが接続され、神は死んで久しい。この間興亡を繰り返した天使たちの亡骸を描き続けて早七年、ある者は鉱物を生やし、あるいは鱗を備えて、絵画の中で胎児の睡りをむさぼる。ヨハネがこの絵画の標本に加わる時、世界は終わりを迎えるだろう。


第六十回Twitter300字SS お題「祝」

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