盗人
二人は早速校長の自宅へと向かった。
アパートだったので大家を呼ぶと彼はひどく驚いた。
「け、警察!?おいら、なんもやってねえぞ!」
「大丈夫です。あなたではありませんし、誰かが加害者になったわけではありませんので、ご安心を。
しかし、その慌てっぷり。不審ですね。」
竹下が冗談半分にいった。
経緯を説明するとまたも彼は驚き、
「社会は恐ろしいもんだな。」
なんて漏らした。
「こちらです。」
すんなりと二人は校長の部屋へと侵入した。
「さて、どこから手をつけますか?」
竹下は真面目な顔をして
「泥棒の気持ちになるんですよ。」
というと中沢はとても困った顔をした。
「人は大事なものを奥に隠します。
泥棒はそれを掘り当てるのですから、泥棒の気持ちになるというのはそういうことです。」
「はあ。」
中沢は呆れたような尊敬したような、という感じであった。
「私は今までにたくさんの荒らされた家やら泥棒を見てきたので。
なんとなくわかります。君だってちょっとはわかるのではないですか?」
「まあ、少しは。」
二人は黙々と部屋を漁り始めた。
「ありました!」
中沢が一声をあげた。
「なんですかー?」
「銀行手帳です!」
竹下の顔がパッと明るくなった。
「よくやりました!」
中沢はガッツポーズなんてした。
「今すぐ行きたいのですが………
体が……なんか挟まってます……」
中沢が見るとタンスの隙間に竹下が挟まっていた。
中沢が吹くと竹下は不服そうな声をあげて「少し手を引いてくれたっていいじゃないですか。」と言った。
「はい、はい………」
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