神澤さんと鈴木さん

「かんざわさん、ここ教えてくれませんか?」



「佐藤くん、何度も言っているが、私はかんざわではなく、かみさわだ。

間違えないでくれ」



「あっ・・・すっ、すいませんっ。でも、かんざわさんも、間違えているじゃないですか。ぼく、佐藤じゃなくて鈴木ですよ」



「あっ・・・すまんな、よくある名字だったことは覚えていたのだが・・・」







***









「かみさわさん、ここ、もう一回教えてくれませんか?」



「何度言えばわかるんだい?私はかみさわではなく、かんざわだ。伊藤くんはこのままじゃ、いつになっても昇級しないぞ」



「でも、かみさわさんだって、ぼくのことを伊藤と呼んだじゃないですか。ぼくは

伊藤じゃなくて佐藤です。いい加減覚えてください」



「ああ、すまんな、魚の名前だった気がしたもんで・・・」



「まあこれで、ぼくとかみさわさんは引き分けということになりますかね?」

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