第24話「闇の顔」
第二十四話「闇の顔」
「随分と街が騒がしくなってきたようだな…………見かけによらず勤勉だよ、ほんとあの男は……」
外界を右往左往するパトカーのけたたましいサイレンを聞きながら、
「う……うぅ……?」
その美少年の目の前には、小型クレーンに装備でもされているような、大げさな鎖で両腕を拘束された全裸の巨漢が跪かされていた。
ーーここは薄暗い旧校舎の一室、一般生徒の生活圏とは無縁の立ち入り禁止区域だ
「
「うう……」
「……ああ!そうだった、そうだった……
「…………うぅ……」
何が愉しいのか、少年は嬉々とした表情で苦しむ男に視線を向ける。
「
「……!?」
「この場合、拉致後の処分は……多分、
「う、うう……がっ!」
途端にジャラジャラと大仰な鎖の音を鳴らして足掻く大男。
「なんだ?
「お前は利用されていたんだよ、今となっては流石にお前の原始人並の頭でも解るだろ?んで、末路がコレだ……」
そして歪んだ笑みで、
「うぅ……は……はぁ……み、
支配する側とされる側、現状の圧倒的な力関係……
この状況下でも、哀れな囚われの巨人は……
「み……はし……」
途切れ途切れの声で苦しそうに呻きながら、力の籠もらない視線を向けて何かを問うていた。
「…………」
しかし、
「う……うぅ……みはしぃぃっ!」
筋骨隆々で鍛え上げられた肉体を窮屈に縛り上げられ、プルプルと小刻みに痙攣させて苦しむ男は、脂汗に塗れながらも力を振り絞って叫ぶ!
「……意識を取り戻したらコレだ……はぁ、中々思い通りに行かないなぁ……
「き……さま……」
「まぁいい……
「おんな?……く……喰ら……う?」
「ははっ、憶えてないのか……なるほど、あの状態ではひとの意識は殆ど保てない……と……新たな発見だなぁ、実験としては上出来の部類だ」
「貴様……い……ったい……お……れに……」
意味が解らない
「さらった女を喰らわしたんだよ……といっても、安心しろよ、実際に喰う訳じゃない」
「……うう!?」
「僕のこの”
それは
「…………ぅ……」
「なんだその反応?とびきりの話なんだよこれは!…………はぁ、所詮頭の悪い
「…………」
「まぁいい、つまり、さらった女から抜き出した”
「き……さ……ま……やめ……」
「
激しく拒絶する
「ぐぅぅ…………」
ーー
ー
そしてーー
薄暗い部屋に、黒髪のロングヘアーをサラサラと揺らした一人の少女が現れた。
「…………」
「う!……は、
暗闇の中、ぼぅっと焦点の定まらない黒い瞳で、およそ武術を修めた彼女とは見紛う無防備さで立ち尽くす制服姿の少女。
「き……さま……
見知った少女の明らかに異常な状態に、全身脂汗まみれの
「そう凄むなよ、ゴリラ……
怪しい碧い視線を無遠慮に少女の
「…………」
しかし
普段の凜とした佇まいとは真逆の、芯の無い人形のままで直立して、無防備にその
「な……にを……?」
意味ありげに怪しく光る
放心したまま佇む黒髪の見知った少女。
室内を漂う異質な雰囲気と霞がかかったような淫靡な空気……
おぼろげで頼りなげな……なんとも艶っぽい……
「う……はぁ……はぁ……」
「…………」
”ふふん”と鼻を鳴らす
ーーそして彼は命令する
ニヤリと端正な口元を歪ませて……さも愉しげに……
「脱げ!」
ーーなっ!
「…………」
相変わらず人形の黒髪少女の、すっと両の白い手がくびれた腰の辺りに移動し……
「……」
男達が馴染みの少女を凝視する薄暗い部屋に、”プチッ”とホックを外す小さい音がヤケにハッキリと聞こえる。
続いて、”ジーー”と清楚なプリーツスカートのジッパーが下りる音が響き。
やがてそれは、ストンと冷たいリノリウムの床の上に切り落とされ無機質に落ちた。
ーーゴクリッ
上履きに白いソックス……緩やかで豊かな曲線の脹ら脛から上に……普段は決してお目にかかることが無い、二つの白い太ももが余すこと無く露わに見える。
ーーそしてその先は……
闇の中にぼんやり滲んで見える、純白の下着……
ごく普通のシンプルなものだろうが……それは背景とのコントラストとも相まって、
ーーギュイィィーーーン
「……うっ……うぉぉ……」
途端に
「お……おぉ……」
驚愕なのか、苦痛なのか……はたまた快楽なのか……
見分けの付かない顔でうめき声を漏らしながらも……巨漢の目は、眼前の白い獲物を捉えたままだ。
「物欲、食欲、性欲……欲……それらは”
「おぉぉ…………」
大和撫子……お堅い性格の
「役得だねぇ……
「…………」
「ふん、少し前まで
あからさまに馬鹿にした
「……く……ああ……」
ギラついた視線はそのままに、全身を震わせ、複数の光の痣から”なにか”を溢れさせて悶える。
「いいよ、正常な男子高校生の反応だって、はは、じゃあ更にご褒美をやるよ」
「!?」
「
「う、うぁぁーー!おぉぉ!や、やめろっ!おまえ……みは……」
僅かに残った理性だろうか?
「びびったのか?はは、図体はでかいくせに……けどな」
「みはし……あぁ……貴様……な……うぅ……にをしているのか……」
「全部脱がせないと儀式にならないだろうが、バカゴリラ!」
そう吐き捨てながら、
「……」
ーー露出した下半身を隠すことも無く、だらりと下げられていた両手が今度は制服の胸のタイにかかった。
「や、やめろ
シュルリーー
オパールグリーンのタイが滑り落ち……
ーープチ
白い胸元が解放されていく……
「はは、
ーー
ー
やがてそこには上下の下着姿だけになった
「う……うぅ……おぉぉ……」
更なる感情の昂ぶりにより、体内に強制的に植え付けられた”
それは一回り大きく、更に頑強に変貌を遂げていた。
「う……う゛ぅぅぅ……」
苦しみに打ち震えながらも、未だ
「流石……
半裸で立ち尽くす黒髪少女と全裸で拘束され蹲る巨漢の男を前に、両手を叩きながら大喜びする
「……さぁ儀式の再開だ……
そして今度は蹲る
「で……野獣……
闇に歪む
第二十四話「闇の顔」END
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