R3.5.16『あ、安部礼司』の感想

 昨年、神保町のすずらん通りにできたちょっと変わった本屋「無用之用」。すぐには役に立たないが、いつか役に立つような本を置いている。



安部礼司は吉野家。

まえは「いらっしゃいませ」だったが、今は「こんにちは」となった。

2019年にマニュアルを改訂し、「いらっしゃいませ」から「おはようございます」や「こんにちは」に挨拶を変えた。


⇒最近だと、コンビニの店員は「いらっしゃいませ」も「ありがとうございました」も言わないのが目立つね。ほかの店員とおしゃべりしながら対応することも多い。ちょっとまえはイラっとしたけど、今じゃ慣れちゃったかも。セルフレジが普及してきたせいか、店員=別売りの有機体のレジ打ちマシン、と考えてもいいかも。ますます仕事がなくなるねえ。



 安部礼司はユウちゃんにいつも通り、余計な一言を言ってしまった。夕食に食べたカレーには隠し味が入っているが、いつものカレーか、今日のカレーのどっちが美味しいか訊かれる。

 逡巡・懊悩する安部礼司。「正直に言って」と言われたが、これまでの経験から正直に言って良かったためしがない。そして「どっちも美味い。甲乙つけがたい」と言おうとしたかった安部礼司だったが「どっちもどっちだな」と間違ってしまう。


⇒混乱しているとたまにあるよね、そういうこと。



不要な一言を言ってしまうのは、メールでもよくある。たった一言で妙な圧を感じることもある。


たとえば「以前にもお伝えしましたが」という文言は「おうおう、何度も言わせんな。前に言ったろう!」という感じ。


回りくどく、なるべく本音でぶつかり合わない。それがビジネス。本音でぶつかってトラブルになったら修復不可能になってしまうかもしれないため。危機管理が最優先。そう考えると、妙な圧を感じるメール文も危機管理によるものかも、と思ってしまう。



唐突に大人電話相談室。

ラジオネーム「えっと、ラジオネームどうしよっかな。じゃあ、ベーヤーで」の安部礼司からのお悩み。最近、言葉で失敗して以来、話すのが怖くなっていた。

そんな「どうしようかなじゃあベーヤー」さんに、相談員のナツトはこう伝える。

 鳥は二種類の言葉しかもたない。縄張りを主張する「地鳴き」と愛を伝える「さえずり」。人間の言葉はさえずりが進化したものとも言われている。

 人間の言葉は全部愛を伝えるもの。失敗してもいい間違ってもいいが、言葉を間違って伝えなくなるのは止めよう。言葉は愛。言葉を伝えるのではなく、言葉で愛を伝えよう。



マリアアンジュはやってしまった。ついカッとなって、取引先に正直なメールを送ってしまった。すると相手が会社に乗り込んできた。戦々恐々とする安部礼司たちだったが、相手は謝った。そしてアンジュを褒める。

普通ビジネスメールでは「すみません」を使うが「ごめんなさい」を使ったことで距離感が縮まったと感じた。本音は大切だ。



安部礼司が大日本ゼネラルのみんなに尋ねる。今日、美容院から戻ってくるユウちゃんをどう褒めれば良いか? もう後がない。


正直に答えるべき。しかし、イギリスの経営者・ジェラルドラトナー氏は自社製品の安さを問われて、ほぼ冗談で「ガラクタだから」と答えてしまい株価は暴落。たった一言で2000億円を失ったが、まあ気にするな。

そのほか、本音や無難、めっちゃ心底褒める、などのアドバイスを得た安部礼司。


結果、安部礼司は「髪型なんてなんでもいい。大好きだ―」と支離滅裂な回答をしてしまう。



ささやか、という言葉。

ささ、とは「小さい」「細かい」という意味で昔から俳句や短歌に歌われていた。この言葉に「やか」をつけることでポジティブな意味になる気がする。

「ささやか」の後ろにはネガティブな言葉が来ない気がする。



今週は無茶ぶりはなし。


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