R2.2.16『あ、安部礼司』の感想

安部礼司は気づいた。最近会社が静かだ。オフィスの電話がならないのが原因。ほとんどはメールで済ますし、用件があれば携帯電話にかかってくるためだった。


そんな静かなオフィスで部長は、郷愁に心を支配されていた。昔はもっとワイワイガヤガヤしており、つい、飲みに誘う雰囲気だった気がする。しかし今じゃそんな飲みにケーションは、死後、都市伝説、昔話となった。


⇒確かにはあるけど、突発的に飲みにいくことは少なくなったかも。


イギリスの経済学者・ケインズは100年前にこう予言した。これからの時代について人生の勝利者になるのは次の2つだ、と。

 ①生活の楽しみを洗練させながら維持できる人

 ②生活の手段にすぎないものに自分を売り渡さない人



小川町の小料理屋・貴船に伺う部長さん。地産地消にこだわり東京産のものしか出さないという。女将のトモミさんが豊島屋の日本酒・利他を出すと、カウンター奥に座っていた常連の五反田さんが話かけてくる。そして昔話を始める。

昔は先輩や上司から飲みに誘われたら絶対だった。仕事のことや会社のことを聞く絶好のチャンスでもあったが、今じゃ飲みに行こうというと空気が一瞬固まる。


⇒「会社生活=時間を一番費やしている=人生」なのは、今も昔も変わらないと思うけど(この先は分からないけど)、昔と違って不景気だからね。昭和的に仕事に貢献しても、見返りが昭和のときとは全然違うから仕方ないよね。最近は社員側だけじゃなく会社側もドライだしね。


そんな五反田さんは会社で「妖精さん」と陰口でたたかれている。それは定年前のシニア社員のことで、朝は必ず時間通りに出社するのに、いつのまにか席からいなくなっていつのまにか退社しているから。もしくはWindows2000とも呼ばれている。古い人間のくせに年収2000万ももらっている(と思われている)ため。


⇒良いなあ。


昭和が懐かしい、とつぶやく五反田さんに、トモミさんは内藤新宿の内藤カボチャを出す。関東ローム層で育ったカボチャは根が深くまで入り込み、ミネラルが豊富なのだという。



貴船で飲んだ翌日、部長は体がフワフワとさせながら出社した。オフィスに入ると固定電話がガンガンと鳴り響いていた。社員たちは、ファクシミリが紙詰まりしたり、ゼロックスの調子も悪かったり、とてんやわんや。

困惑する部長のすがたを社員たちが見つけると、みんなで朝礼をお願いしだして、さらに困惑する。

月曜日に出社して金曜日に退社する気概。テッペン越えても仕事する所存。人生は仕事するためにある、と次々にモーレツなことを言っている開発本部んの面々。

当然のごとく夢オチ。


⇒仕事や集団作業が好きだったらモーレツでもいいとおもうけど。今じゃ仕事以外の交流網が簡単に築けるから、仕事だけに集中できないのかな。あとは上にも書いた通り、仕事に対する見返りが見合っていない、ってのものあるかも。


【B面】

メチャクチャ久しぶりの大人電話相談室。


ラジオネーム『本当は平成生まれで調子合わせて、え、昭和のおじさん、まじうざいしょ的な意見に合わせたりもするごくごく普通のビジネスウーマン』さんからのお悩み。


自分は本当は昭和人間。昭和のほうが体質にあっている。仕事は本気でやりたいし、体育会系ののりで議論が白熱して「てめえ!」的な口調で激論を飛ばしたその日の夜、飲みにいって一緒に泣いて親友になるぐらいの熱さが欲しい。新年には着物で上司の家にあいさつにいくぐらいに団結したい、のだという。


そんなウーマンマリアさんに部長さんは「もうみんなに気づかれていますよ」「この世で一番いけないことは自分に嘘をつくこと」「あなたはあなたのままでいい」とアドバイス。


⇒たぶん上にあるような昭和的な働き方ってのは、平成になって認知されたんだろうな。バブルというのが、弾けてからバブルだった、と分かるように。そうなると平成的、ってイメージができるのも、もう少しかかりそうだな。今『平成的』って言っても全然ピンとこないけど。



さぼうるでサボっている安部礼司と飯野っす君、最近元気がない部長を飲みにさそうと考える。姫川パイセンとアンジュも同じくさぼうるで、部長を飲みに誘おうと画策していた。そんな4人は合流して、誰が部長を飲みに誘うか⇒言い出しっぺの安部礼司が誘うと手を挙げる。気を遣っていると思わせないように飲みに誘えるのか、と疑問を呈す姫ちゃん。


⇒正直に全部言って直接言えばいいのに、って思うのは誘い下手だからかな。正直に言える関係性なのか、ってのもあるかもしれんけど。


そして部長はさぼうるの一階でサボっており、話を聞いていた、というオチ。


昭和・平成・令和と変わっても、サラリーマンの本質に変わりわない。仲間を敬い、仲間を助け、仲間と多くの時間を費やす。それならばできるだけ楽しくありたい、できるだけ優しくありたい。

そして流れる平成元年4月にリリースされたプリンセスプリンセスの「ダイヤモンド」。(ダイヤモンドプリンセス号で、ある意味トレンド?)



貴船にやってきた開発本部の面々。カウンターに横並びで座って飲みながら毎年年度末の2月はいろいろ考える、と吐露する部長。お金のために働くのは当然だが、せっかく長い同じ時間を過ごすんだから、袖触れ合ってもいいんじゃないかな、と思っていた。


⇒ただ金を稼ぐだけなら、サラリーマンじゃなくてもいい。サラリーマン=安定の時代も平成で幕を閉じた感がある(それでも心の隅っこで安定していると思っているけど)。サラリーマンってなんでしょうね。


最後は「日曜日に会おうよ」。

なんだか今回は通常メンバーの通常回って感じでよかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る