形を持たない海

「お姉ちゃん、もう寝た?」

「夢をみてるわ」

「寝てたら返事できないでしょ」

「あかるいね」

「うん、朝みたいね、今日はお月さまが大きく見える日なんだって」

「カーテンがきらきらしててきれい、くらげみたい」

「くらげ?」

「ほら、銀色、きれい」

「お月さまの光ね。カーテンに透けて眩しいね」

「……」

「私ね、お姉ちゃんってお月さまに似てると思うの」

「……」

「お姉ちゃん?」

「……忘れちゃったの?」

「何を?」

「……きんいろね、きれい」

「お星さま?」

「ずっとあるわ」

「お姉ちゃんもね、お月さまみたいできれいなの」

「……」

「お姉ちゃん?」

「……私じゃないわ」

「どういうこと?」

「私は夢の中にいるもの」

「お姉ちゃんはここにいるよ、私の目の前に」

「……」

「お姉ちゃん?」

「……」

「もう寝ちゃったのかな」

「……」

「おやすみなさい、私はまだ眠れなさそうだけど」

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