本編PV2000突破記念〜おじさんと幽霊〜

「…………」


 こんばんは


「……あ、こんばんは」


 …………


「あの……どうかしましたか?」


 道に迷ってしまいまして……


「……そうですか。もしよろしければ、私の家に来ますか?雨風をしのぐ屋根程度にしかなりませんが……」


 申し訳ありません。一晩だけ厄介になります


「どうぞ。いやぁ、散らかる物すらなくて……」


 いえいえ、そんな事ありませんよ


「しかし、この辺に私以外の人がいたとは驚きましたよ」


《このアパート、誰も住んでいないんですか?》


「……ええ。このアパートに住んでいた人達も、みんな揃ってジャパリパークの中にある居住区域に引っ越してしまいまして」


 寂しくありませんか?


「寂しくない……と言えば嘘になりますかね」


 あなたはパークの中に行かないんですか?


「ええ、まあ……ちょっと、気乗りしなくて」


 こことは違ってパークの中は賑やかですよ


「ええ……それに、優しい人ばかりだ」


 そうですね。とても優しい人たちばかりです


「……ええ。私のような錆びれた男にはもったいないぐらいですよ」


 そんな事ありません。私のような見ず知らずの者を家に上げて下さったんですから


「困った時は、お互い様です。……あ、そうだ。よろしければ布団を敷きますんで」


 いいんですか?


「……男臭いかもしれませんが、それでも良ければ」


 お布団、一つしかないみたいですけど……


「ああ、大丈夫です。雑魚寝には慣れっこなんで」


 そんな、悪いですよ


「いえいえ、お気になさらず。お客さんが気を遣う事はありませんよ」


 ……ありがとうございます


「ははは……私も、何年かぶりに職場以外の場所で女の人と話をしましたよ」


 ……この写真……


「ん?……ああ、女房と娘です。ちょっと訳ありでして……」


 ……まだ大事に持ってくれてたんだね


「え____






















 お人よしは相変わらずね


 早く私のことは忘れちゃいなさい





















待ってくれ……




「待ってくれ!」


……


……夢…………か?


俺……布団で寝てたっけ……?


……そろそろ仕事に行かないと、な……


……じゃ、行ってくるよ。

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