第10話「リア充万歳!!?」

やっちまった。


思わぬ展開でチェリーを脱してしまった。


腕元を見れば褐色肌の美しい美少女が裸のまま静かな寝息を立てている。


可愛い。


顔が熱い。こんな超絶美女と初体験なんて俺はなんて幸せなんだぁ!!!


それにしても、やり終わってから気づいたが、俺の身体の傷は跡形も無く消えていた事に驚いた。


自然治癒?いや、そんなレベルでは片付けられない。


まるで魔法で一瞬に治したみたいな感じだ。


「うん‥」


そんな事を考えていると、どうやらルナが目を覚ました様だ。


不意に俺と目が合い、ルナは頬を恥ずかしそうに赤く染める。


それに釣られて俺も頬が熱くなる。


だがしかし、何で俺なんだ?会ってすぐの何処の馬の骨かも分からん相手なのに。


俺は聞かずにはいられなかった。


「な、‥なぁ。初めてが俺で良かったのか?」


「え?」


「あっ、いやね。正直、名前も知らない男だった訳だよ。それなのにこんな関係になっちゃうなんて、」


戸惑いの表情を浮かべる俺に対して、ルナの反応は思わぬ返しだった。


「私とではダメ‥だったかな?」


「え!!?まって待って。何でそうなるの?ダメな訳ないでしょ。実際天国に行きそうなぐらい気持ち良かったよ。何回でもしたいぐらい!」


ルナの悲しそうな表情に俺は慌ててルナの手を取り、弁解しようとすると、ルナは顔を赤く染め上げ俯いた。


「は、‥恥ずかしい。」


ボフン!!とその言葉に俺の頭は火山の様に噴火する。


なんじゃこれ?


何だよこれぇ!!!リア充万歳じゃねーかよ!!


この世界にきて、初めて心から嬉しいと思えるじゃないかよぉ!


神を怨んだが今は感謝の言葉が言えるかもしれん!


感極まってもう泣きそうだ!いや、もう泣いてるよ俺!


って待て待て。話が脱線してしまった。


俺は改めて答えを求め様とすると、外から声がかかる。


「ルナ様。お時間でございます。」


俺はビクッと身体が硬直し慌てるが、ルナは冷静に返す。


「わかったわ。直ぐに準備するから待ってて。」


そう言ってルナは立ち上がり、服を羽織る。


え?何の冷静さ?


一般常識じゃ考えられないんですけど!


ってかルナは日本人じゃないよな?見た目も違うし‥。


え?そう考えると日本語が通じるのもおかしくないか?


考えれば考えるほど、穴に落ちていく。


そんな時、不意にルナの手が俺の手を取った。


「レンジュ。行きましょう。」


「ほえ?」


素っ頓狂な声を出す俺。


「行くって何処へ?」


「何を言ってるの?婚姻の儀が終わったらお披露目しなくちゃ。」


はい?


「さぁ、服を着て。」


何ぃ~~~!!!!??



〇〇〇



わーわー。キャーキャー!。ドンドンドドドド、ピーヒャララー。


民衆的な音楽と民衆の歓声を浴び俺は今、部族の民達に手を振っている。


とは言ったものの、民の数は100人とおらず、ミド僧騒ぎで減ってしまったようだ。


って、話は逸れたが何でこうなったのかという経緯はこうだ。


なんでもルナはこの少数部族の女王兼巫女らしく、数日前に神からお告げが有ったのだ。


【汝を救いし者と夫婦となれ。さすればクジャ族を安泰に導かん。】


ルナと一緒に入れるのは嬉しいけども展開早すぎるくない?


神の意向がわからん。


「ささ。レンジュ殿。此方へ。」


この部族の大臣。ランレンさんに誘導され俺は地面にファンタジー系のアニメなどに良く出る魔法陣らしき物が描かれた檻の中に入れられる。



檻!!?


ガチャン。


振り返るとランレンさんは檻の鍵を閉めていて俺は閉じ込められてしまった。


「ではこれより伝説の大魔法【#創造形成__クリエイティ__#】の儀に移る!」


「っておぉおい!!コレはどういう事だよ!!?」


状況が分からず慌てて声を荒げると、ランレンさんが俺に向けお辞儀を一つする。


「一族の為です。どうかお許しを。」


「は?いえいえ。何?何を許すの?ってか何をするのさぁ!!?」


そんな風に喚いているとルナが涙目で俺を見つめる。


何の涙目!?俺何されるのよ?


「許してレンジュ。コレも神のお告げなの。生きて戻ったら何回でもしようね。」


‥何回でも?


思わずだらしのない表情になってしまう。


「って待てい!!!その前に「生きて戻ったら」ってわけのわからん言葉を言わなかったか?ルナちゃんや!」


「私は貴方を信じてる。」


何が!?


顔面蒼白とはこの事か!


俺死ぬの?この世界に来て間も無く死ぬかもしんねぇのか?


神!神!あの神ぃ!!!


何をしてくれとんじゃぁ!!!


そんな俺の心境も虚しく、始まりの太鼓が鳴り響く。


ドン、ドン、ドン、ドンドンドドドド。


ドン!!


「始め!!」


ランレンさんの合図で檻の周りにいた連中が手をかざし、何かを念じだすと俺の下の魔法陣が輝きだす。


嘘?マジか?死ぬ?死ぬのか?


光は更に強くなり、身体全体を覆うように視界は光に包まれた。


そして光が収まり、目を見開くと其処は真っ白の世界で、目の前には2人の老人が立っていた。


「ほう。此奴が源ちゃんの言っておった少年か。」


「ふんッふん。」


誰?


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