第5話「たどり着いた先にはミド僧の群れがいた。」

臭いを辿り、急ぎ足でその根元に近づくと、馬のいななきや人々の悲鳴が聞こえだす。


そして見えた先は、民族風なテントが所々で燃え上がり、民族衣装を身に纏う人々がミド僧達に追い回されている光景だった。


ミド僧自体の戦闘力は然程無い筈だが集団で襲いかかっている為、人々は難儀している様だ。


それに加えて戦えない女子供は男の後ろに隠れ、男は庇いながら戦っている為、戦いにくそうだ。


せっかく人と会えたと言うのにイキナリか。


それにしてもミド僧は単体行動が主だと思っていたが違ったのか?


そんな事はさておき、自分の気持ちとしては直ぐに突っ込んで助けになりたいが、俺自身がとても強い訳でもない為、何も考えず突っ込むのは馬鹿のすることだ。


それに何度か戦ったが俺も人間だ。打ち所や斬られ所が悪ければ死ぬ。


無謀に助けに行って自分が死んでしまったら元も子もない。


俺は取り敢えず、身を低くしながら木々に身を隠し集落に徐々に近づき、そこら辺で待機しているミド僧は後ろから槍で突き刺し即死させ、ミド僧が持つ武器を回収。


そしてまだ火の手が回っていないテントの隅まで近づくと、中から「ギャギギギ!!」と何やら高揚するミド僧の声が聞こえた。


俺は身を低くしながら、テントの風通し窓に近づき、恐る恐る覗き込んだ。


見るなり俺は驚愕する。そこには縄で縛られた女性が裸の状態のままミド僧に犯されている光景だった。


1.2..3体って所か。


男として女性の裸は好きだが、ミド僧が女性を犯す光景に欲情する程の趣味はない。


そして良く良く見れば、その中でも今まで見たミド僧よりも少し利口そうな顔つきのミド僧がいた。


身体も幼児体型ではなく、中年親父っぽい身体つきで体調も他のミド僧より少し高い。


武器に関しても他のミド僧より小綺麗な剣をもっていた。


何となくと言うよりも恐らく彼奴がミド僧の親玉の様だ。


そんな中、一人の少女が縄で縛られたまま他のミド僧に引きずられ連れてこられた。


歳は俺とあまり変わらなそうだ。


「キャキャ、キキキー」


下っ端らしきミド僧が親玉に何かを告げると、その少女を親玉の前に跪かせた。


そして乱暴に少女の髪を掴み、少女の顔が親玉に見える様にした。


親玉は片手で顎を摩りながら少女を見定めると醜い笑みを浮かべ、剣を抜き取り高揚し雄叫びを上げた。


「ギャギャギャギャー!!!」


すると剣が一瞬光を放ち、周りにいるミド僧の目も呼応する様に光を放ち、雄叫びを上げた。


「「「「ギャギャギャギャー!!」」」


何だあの光は?


もしかしてあれで他のミド僧を操ってる?


自慢ではないが俺の勘は結構当たる。


さてどうするか?


このまま突っ込んで行ってもいいが、場所が場所なだけに気づかれて入って居る時に外から火をかけられたら一溜まりもない。


女達の縄を解き自分で逃したとしても、その時は間違い無くミド僧達に囲まれてしまっていて、手の打ち様が無い。


重い悩む表情を浮かべる俺だが、その合間に少女は今にも親玉中年親父に迫られそうになっていた。


少女は恐怖のあまり身体を震わせ動けないでいる。


そんな時。タイミング良くかどうかは分からないが、馬に跨り同じく民族衣装を着た色黒の美男子が急に現れ、手に持つ槍でミド僧達を蹴散らし始めた。


「俺の留守中に良くもやってくれたなゴブリン供め。蹴散らしてくれる!」


ミド僧達は雄叫びを上げ、嚇怒しその男を中心に集まっていく。


どうやら此方に集まる心配は無さそうだ。


俺は視線を再びテントに戻し、瞬時に作を練った。


さて、一丁やる気を出しますかね。


===== ====== ====== ====== ==



ここまで読んで下さった方々、誠に有難うございます。


感想、質問などなどありましたらガンガン言って頂けるととても嬉しいです。


次回もお楽しみに。

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