第5話 思い出せない名前
長年連れ添ってきた連れ合いは物の名前が言えなくなってきた。
物自体は分かるのだが、名前が出てこないのだ。
かく言う私は物自体が思い出せなくなってきた。
「アレなんて言ったっけ? ほらアノ……八宝菜の中に入っている白くて丸いヤツ」
私は、うっすらと卵をイメージしていた。
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