8月16日 バナナを頂き候

 アイアイアイアイアイランドー。

 雪車町地蔵だ。

 大丈夫、ジェネレーションギャップなんて感じてない。


 さて、バナナをもらった。

 何の変哲もないバナナだ。

 よく熟れているようにみえるし、香りもいい。


 どこのスーパーでも売っているようなバナナ。たぶんお供え物の類。あるいはおさがり。


 いや、ひょっとするとこれは、爆弾かもしれない。

 私は、電子爆弾を抱えて、いま帰途についているのだ。

 もしこれが、バスの中で爆発したらどうなるだろうか。

 電子爆弾だ、乗客のスマホの類は全滅だろう。

 それで、大事なデータが損失し、会社を首になるものもいるかもしれない。

 その人物は将来、日本経済界に革命をもたらす人材だったかもしれない。

 それが、この香りのいいバナナひとつで台無しになるのだ。


 おそろしい。

 冷や汗がとまらない。

 私は少しでも爆発の規模が少なくなるようにと、しっかりとバナナを懐に入れる。

 いや、こうやってバナナを懐に入れていると、拳銃のようにも思えてくる。

 そうか、これは拳銃だったのだ。


 恐ろしい暴力だ。

 送り主は、私に何をさせようというのだろうか。

 このままでは取り返しのつかないことになってしまう。

 バスジャックと勘違いされる。


 とにもかくにも警察に。

 次のバスストップで降りて、最寄りの警察署に駆け込んで──



 と、ここまで与太を書いて、没を出した。

 とりあえずバナナは美味しくいただいた。

 大変甘酸っぱくて、健康にいい味がした。

 以上。



(檸檬かな?)

(檸檬はもうちょっと格好がいいですよ、せいぜい戯言ですって)

(狂気が足りない)

(それはほら、明日放出しますので……それでは! アデュー!)

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