閑話 女神の片思いと、兄妹
繰り返される終末という破滅。
「辛い事は他にさせれば良い」と……
創造の神は己が手で創造することを禁じ、己が手で消し去ることを禁じた。
十二柱の使徒は世界の創造を、最後の使徒は
己が代わりに哀しき終末を見つめる執行者。
その想いこそが過ちだと、その気持ちが世界に終末を齎していると言う事に。
繰り返される争いと執行……。
それを止めるために自身の力を揮う、傷ついた
「彼(彼女)に救いを」
創造の神は
そして、己が中に芽生えた想いが「慈愛」だと気付いた。
執行者は無垢な心をもって、彼女の見守る世界へと…… 旅立った。
十二柱の
創造の神は、
その転生先は十二柱の
其処には二つの異なる文明を育んだ惑星があり、一つは地球と言い、もう一つはヘイムス・リングと呼ばれていた。
それぞれの世界は異なった文明を持ち、本来は交わる事は無い筈なのだが……
運命とは創造の神にすら判らぬものであった。
そして、
◇ ◇ ◇ ◇
時は十数年前に遡る。
当時小学生であった
その神社は古くから富士山信仰と密接な関係をもち、
霊峰富士の湧水が、音を立てて流れてゆく。
朱塗りの欄干に凭れ掛りをそれを眺めながらボーッとする。
湧水の奏でる音に飽きると、橋を渡り朱塗りの鳥居を潜り境内へと歩みを進める。
境内は樹木が生い茂り日差しを遮って涼しげな陰をつくっていた。
静謐などと言う難しい言葉は使えなかったが、此処がそういう静かで落ち着く場所だと知っていた。
何をして遊ぶでもなく、境内でノンビリとする
小学生にしては大人しく座っていたり、木々を眺めたりと聊かおかしいのだが、そこは二人は兄妹であり似た雰囲気を持っていた。
宮司さんや巫女さんもそんな二人を微笑ましく見守っていた。
木々に囲まれた休憩所には簡素な屋根、机と椅子が設えてあり、日がな一日境内でボーとして居る訳ではなく、時には二人で勉強もしていた。
日中の日差しが徐々に薄れていく…… もうすぐ春も終り、新学期になろうと言う時に二人は出会った。
何時もの様に
春休みもうすぐ終わり、来週からは新学期が始まる。
境内を流れる湧水を眺め、何時ものように境内の南西にある野外休憩所のベンチへと向かった。
少し小高い場所に作られていた事もあり、下からの眺めでは先客などが居る事は見通せない。
溶岩を削り作られた階段を登り、休憩所へと向かう。
階段を登りきって休憩所へと一歩踏み込むと、其処には美しい少女が佇んでいた。
先客が居る事を考えていなかった
だが、その少女は
「こんにちは 」
突然の挨拶に、慌てて返事を返す。
「こっ、こんにちは 」
その春の出会いから、
同じ小学校に通う同い年の少女。
小学校から中学へと進学する間も三人は仲が良かった。
仲の良い友達とのキャンプや海水浴など、大勢の友達との思い出も作る事ができた五年間、中学を卒業し二人は同じ高校へと進学する。
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