第4回ROADS
校庭の端に三角形の鉄の塊が後ろから煙を吹いていた。
生田は注意深く塊に近づいてみた。UFOじゃないようだが、見た事のないフォルムだ。
側面が開いて操縦桿になってる。人は乗ってない。全長5メートルほどの戦闘機という所か。
空を見上げると雲が渦を巻いてる。生田は厄介な物が落ちてきたと頭を掻く。
外側はかなり破損してて、微かに”VOLZ……”と機体名が彫ってある、途中までで文字は消えてる。
「生田先生、何なんですか?この鉄の塊は?」浦兼は目を凝らしていた。
「警察に連絡した方がいいだろうな……」生田は浦兼を引っ張って職員室に戻る。
生田が電話を取った瞬間に校庭全体がピカっと発光した。
2人が校庭に出ると、鉄の塊は忽然と消えていた。
校庭全体がドライアイスのようなもので覆われている。
7月22日(金)
アナザーワールドとリアルタイムワールドの境界は高い壁があるが、コツを覚えれば行き来は容易い。
本城ベータは麦わら帽子の少女から受け取った”世界はあなたの出方次第”というメッセージを感慨深く見つめる。
何年か前にもメールで同じメッセージが2度ほど届いた。
「何年経っても普通のおっさんだと思うんだけど……」
ベータは仕事の支度を始めた。
我道幸代がサササっとリビングに来て「センセ、今何時?」
ベータは腕時計を見て「8時半だよ」と言う。
我道は慌てて部屋に戻り、5分後に珍しくスーツ姿に着替えてきた
「なんだ、就活か、社長さん?」ベータがほくそ笑むと
「そんなところね」
これだけの美形が就活したらいの一番で受付嬢の仕事が決まりそうだ。
「急いでるから先に出るね、いってきまーす」
「いってらっしゃい」
本当に会社畳んで就活だったりして……まあ、あやつが食いっぱぐれることはあるまい。
さて仕事、仕事……。
「でも意外、影道がこんな旅に私を同行させるなんて」
伊藤影道は缶コーヒーを飲みながら、「映見といるのが一番楽なんだ」と言い、映見の頬を撫でる。
朝久里映見は「あなたもう29歳でしょ?なんで仕事を辞めてまでこんな旅に出るの?」
「もう一度自分を探しに行くんだ……」
「教師辞めてからあなた迷走中ね……」
映見は前の彼女”我道幸代”に関してはまったく突っ込んでこない。
自分が23歳の時、年齢を超越した18歳の”我道幸代”と数カ月過ごし、未だに引きずってる。とにかく今のままではダメだと思い影道は家賃を3か月前払いして、旅に出ようと思った。
「そういう映見も仕事休めるの?」
映見は少し微笑んで答えない。
本城ベータは職場のスタジオに出勤して、スタッフがざわついてる所をすり抜けて、スケジュールボードを見て愕然とする。
2016(H28)12/12(月)・2019(R1)12/2(月)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます