Endless Summer All Night 第2部

第11回夜明けの咆哮

2年A組の学級委員北島守は実は理科室爆発の犯人。


ここまで大ごとになると思わなかったので、少々ビビってる。


北島は小学生からの同級生で、同じ学級委員の野上薫子に惚れてる。


はっきり意識し出したのは中3の時。野上の本命のこの天国口高校に受験した。


野上は多分自分の気持ちに気付いてない。


幼馴染みだったから、距離が近すぎるのだ。


だから我道達から野上が本城先生に惚れてるような噂があると聞きはっきり言って本城にジェラシーを感じた。


実際最近の野上はよそよそしい。何かに心を奪われてる、そう感じた。


高校2年の夏は塾三昧だった。なんでこんなに沢山の事覚えなきゃならないのか?


北島は学年で常に20位くらいの成績を保ってるが、勉強は嫌いだった。


部活も漫画研究会という冴えないものだった。


野上がスポーツ、特に野球が好きというのも最近聞いた話で、相当焦る。


いつも野球部の試合の応援に行ってると聞き、益々焦る。


北島はスポーツ音痴だ。鉄棒はもちろん、卓球も満足にできない。


自分が歯痒かった。自分の中途半端さに呆れた。


本城の存在が悔しかった。


浅利もちょっかい出してるみたいだし……。


何なんだろうあいつは?


なんであんな奴がモテるのか?


気付くと夜中4時、北島は早朝に散歩するのが彼の日課だ。


夏休みまであと一週間の7月14日の朝だ。商店街は誰もいなかった。


今日も日曜だってのに塾がある。


北島はうんざりだった。


野上とどこかへ逃げたかった。


しかし現実は冷酷だった。


野上は自分の想いに気付いてない。


北島は思わず地団駄踏む。


ようしなんとかあの本城という野郎をやり込めてやろう!決めた。



一方本城ベータは夜中の4時にレンタルDVDの黒澤明の「天国と地獄」を観終わったところだ。


「何度観ても傑作だよな……もう一回観ようかな?」


その時携帯が鳴る。


ヒツウチだった。


何だ?こんな時間に?変なの。


ベータは無視した。



10回コールしてから我道幸代は電話を切った。


青いヨットパーカーを着ている。


一つ舌打ちをしてから我道はその場を離れた。


2013(H25)8/11(日)・2018(H30)5/3(木)

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