第4話

あれから数年後、僕は中学生になった。そして僕は、女恐怖症に陥った。そのため、中学時代は、悲惨なものだった。


 僕は、妹がなくなり、母が刑務所に収容された後、母方の叔父の家で暮らしていた。叔父は、母の弟だが、母のように子どもを煩わしいとは、考えない人だった。


 叔父は、僕に中学生の頃の話をしてくれた。例えば、叔父は、入学当初に隣の席の女子に一目惚れし、辛い恋心を抱えていたという。僕は、とても新鮮に感じられ、熱心に聞いていた。


 入学式では、後に、クラス一の美少女と呼ばれるようになる人のとなりになった。確かに、初めて彼女を見たとき、ただならぬオーラは感じていた。だが、それと同時に恐怖が、込み上げてきた。 

「よろしく」

彼女が、先生の目を盗み、小声で言ってきたが、僕は、無視という拒絶反応を起こしていた。僕は、少し彼女の反応を見ていた。全く変わった気がしない。僕は、また、前に向き直った。


 最初に話しかけてくれたのは、少し体が弱い人だった。その人は、よく咳をしていて心配になったことが何度かあった。それでも彼は、その度に笑っていた。彼は、体が弱いせいか、学校を休むことが、多かった。逆に言えば、学校に来るときが、稀ということだ。しかし、僕が驚いたのは、テストのある日だ。その日は、必ず出席し、テストを受けていた。僕は、中学初の中間テストの時大丈夫だろうかとあまり、テストに集中できなかった。僕は、結果を見せてもらって気づいた。それこそが間違いだったということに。彼は、ほとんどのテストで九十点以上をとっていた。そのため、学年一位といわれるようになった。僕は、どこか彼に嫉妬していた。それなのにも関わらず、話しかけてくれる彼。僕は、無視と言うことができないでいた。


 僕は、何度か靴箱に手紙が入っていた。僕は、その手紙を開くとたいていこんなことが書いてある。

好きです。返事をください。と。

放課後、体育館裏で待っています。と。

僕は、一様、返事を書いたり、体育館裏にいったりはしたが、ほとんどの女子は、泣きながら帰っていく。そしていつしか、女嫌いな隼人と呼ばれるようになった。


 だからといって、男子から嫌われるような僕ではなかった。僕は、けっして、目立つわけでもなく、優しいわけでもない。ただ、なにかグループを組むときは、仲間にいれてくれる。不便なことはなにもない。それが、僕の退屈で、悲惨と言えると思う。


 そして、一番悲惨だったものが、クラスの行事だ。僕は、飛び抜けて、スポーツが得意でもなく、表現することも得意ではなかった。僕のせいで、賞を逃したといっても過言ではない。賞を逃したことでとやかく言うものはいなかったが、練習の時、サボろうとして委員長に叱られたということがある。そのときの委員長の鬼のような形相は、今でも覚えている。


 中学生と言えば、性に目覚める時期だが、僕は、女恐怖症なためか、雑誌を見ることはなかった。体を見るところで、ただ、吐き気が襲い、過去が、あの悲しき過去がよみがえってくるだけだった。

 

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