第8話 今後の方針と荷物の確認
あれから暫くして、俺とカー子は今後の方針について話し合った。
まず、カー子を精霊に戻す方法として、俺が社会不適合者の烙印を返上して科学世界の加護を取り戻せば、自然とこの魔法世界での加護は失われるので、その過程で【誓約の魔眼】の効力も消えるのではないか? という事。
これに関しては前例が無いのでやってみなくては分からないそうだが、戻れるのであればどんな小さな可能性でもすがりたいとはカー子の弁。
そして、それに伴い俺は当初の目的通り現実世界への帰還を目指す――つまりはこの世界で引きこもりを克服、そして最終的には就職を目標に活動して、カー子はそのサポートをする事に。
俺の【誓約の魔眼】は何が起こるか分からない上に危険性を伴う為、今後就活をするにあたって人と接する機会が増える事になるが、決して使用しない事を約束した。
【誓約の魔眼】についてだが、いくつか分かった事がある。
過去に確認された魔眼の特徴から俺の魔眼のタイプ使用には術者が対象と視線を合わせて約束事をする必要性があるという事。
カー子は確認出来なかったらしいが、本来使用中――俺の場合は約束事を提示し出した段階から瞳に魔眼毎に異なる模様が浮かび上がる仕様があるらしい。
無自覚の初回発動だった為だろうか? とカー子も首を傾げていた。
また、カー子曰く魔眼の力は術者の力を抑える道具が存在するらしく、近々俺の掛けている眼鏡を”魔眼封じ”にすると言っていた。
今すぐやってくれと言ったのだが、条件を揃える必要があるとの事で、どうせすぐに機会は巡ってくると言うので大人しくその時を待つ事にした。
そして最後に俺の荷物についてだが、俺のすり替わっていた財布の中身はこの世界で利用されている貨幣で間違い無いとの事。
なにやら秘匿されている魔法的な加工が施されているらしく偽造は不可能らしい。
スマホと入れ替わったと思われる謎の装置はこの世界の通信魔法具を小型化した物で、登録した通信魔法具同士で歯車の魔力波数を合わせると短時間の通話が可能になるという代物だった。
あの多機能なスマホがただの通信機能のみ、それも短時間とは、と愚痴を溢したのだが、この世界に置ける通信魔法具は非常に高価で、一般家庭用の大型の物でも給料一ヶ月相当の購入費が掛かるらしい。
それならばもういっそ逆に売ってしまえばいいと提案したのだが、このサイズの小型通信魔法具はこの世界の魔法技術では生産不可能なレベルらしく、値を付けられないどころか下手に人前に出すと命を狙われる可能性がある、と注意されて鞄の奥底で眠る事となった。
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