余命1ヶ月の友情


「友達ではない」と言った。

理解できない。

妬ましい。

彼女に向き合うことで私は不幸にしかなり得ない。

そう思っていた。

彼女は私にないものを、私が欲しいものを、全て持っていた。

悲劇のヒロインのような過去。

向こう側に立つ権利。

そういう彼女の《特別》がこの上なく羨ましかった。

彼女が「死ぬ」と言い出してもなにも不思議でなかったし、悲しみも喜びもなかった。

それでも、やるせないものが、たしかに自分の中にあった。

この感情がなにかはわからない。

悲しみ、

寂しさ、

悔しさ、

どれとも違った。

だから私は、これを友情と呼ぶことにした。

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