R・A風味

 運陀多うんだたは若くて美しい女と一緒に蜘蛛の糸を両手でつかみながら、一生懸命に上へ上へのぼり始めました。苦労してのぼった甲斐かいがあって、運陀多と若い女とともに極楽に這い上がったのを見ると、御釈迦様はにやりと笑いました。

「おまえはいらん」御釈迦様は運陀多にふっと息を吹きかけると、あっと云う間もなく、くるくるまわりながら、見る見るうちに地獄の底へ、まっさかさまに落ちてしまいました。

「ういやつ、ういやつ」と御釈迦様は目を細め大きな手で若い女の胸を揉み始めました。「おしりも触っていい?」

「ちくしょう!」と血の池の底からせながら地面に這い上がった運陀多はわめきました。「おまえさんもだめだったか――」すると、顔じゅうが皺だらけになった犍陀多かんだたは、慈悲に満ちた顔で、持っていた饅頭を半分に割って運陀多に差し出したのでございます。

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