T・H風味

「おはよう」

「おはようございます、博士」

「きみはさっき饅頭を食べたかね?」

「どうしてそれを……」

「きみが口を開けたときにかすかなにおいがした。ヨゴミ饅頭だ、そうだろう?」

「そうです」

「食後には熱い抹茶を飲んだ。産地は京都だ、ちがうかね?」

「はい、そうです。すごい洞察力ね」

「わたしに協力して欲しいのなら、ヨゴミ饅頭のひとつくらい差し入れしても罰は当たるまい、そうだろう?」

「ごめんなさい」

「まったく気のきかない女だ。きみの腹の虫は泣き止んだが、わたしの腹の虫は泣き止まない。さよなら、クラリス」

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