D.R・K風味

 コリンが部屋のベットで饅頭を一口かじると急に別世界になった。カーニバル会場だった。とつぜん、しわくちゃの黒いスーツを着た太った男がわめいた。

「らっしゃい、らっしゃい! 運だめしはいかが! 豪華賞品があたるよ! わけないよ!」

「あのーすいません」

「なんだい? ぼうや」

「ここは、どこ?」

「カーニバル会場にきまってるじゃないか!」

「ぼくを元の世界にかえしてよ」

「そんなことより、ぼうや、このハンマーで鐘を叩いて高得点を出せば豪華賞品があたるよ! わけないよ!」

「ほんとう?」

「もちろんだとも」

「このハンマーで?」

「そうだよ、やってごらん!」

 コリンはずっしりと重いハンマーを受けとった。

 ハンマーを振りあげると、彼はよろめいた。

 しわくちゃの黒いスーツを着た太った男はげらげら笑った。

 コリンはハンマーを太った男の脳天に振りおろした。

 太った男は悲鳴をあげて倒れた。

 気がつくと、コリンはベットの上で横になっていた。

 なんだ、あれはただの夢だったのか。

 コリンは、ほっと胸をなでおろした。

「ごはんよぉ!」階下でママが大声を張りあげた。

「はーい」

 コリンは食卓の間に向かった。

 たっぷりと返り血を浴びながら……。

 



 


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