第9話

後悔をしないということは可能なのだろうか

そもそも後悔とはなんなのか


例えば今、僕が美味しいコーヒーを淹れたとして、

家には一片のクッキーも、一粒のチョコレートも、置いてなかったとすれば、

僕はきっと、そのことを残念に思うだろう

何か甘いものを買い置かなかったことを後悔するだろう


例えば昔、僕が勉強嫌いな子供だったとして、

テスト前の部活動がなくなる期間に、遊び呆ける子供だったとすれば、

今の僕はきっと、当時の自分を叱りたくなるだろう

その貴重な時間を無駄にしたことを後悔するだろう


いまからでも変えられるようなことにも、

いまからではどうしようもないことにも、

「後悔」というものは起こり得るということなら

後悔する可能性なんてものは、次から次へと降ってきて

それから逃れることなんて、

できないのではないかと思うわけだ


そしてそれはきっと

自分が意欲的に行うことに、自分にとって重要なことに、

もっとも降りかかることなのではないか


ああすればよかった

こうすればよかった


その結果が望ましくないとき

逆に望ましいものであったときでさえ

一抹の後悔は心に降りかかるのではなかろうか


そう考えると僕らは

これからも「後悔」に溢れた日常をおくるのだろう

小さなものから、大きなものまで


そして人は、後悔から成長するのではないだろうか

後悔する、反省する、改善する、進歩する

一連の作業の連続こそが、僕らの生活なのではないだろうか


それはきっと喜ばしいことなのだと思う

それはきっと未来の可能性なのだと思う

変えようと思う何かがあること

全ては完璧ではないということ

僕にもまだ伸びしろがあるということ


僕らが後悔から解放されるのは

人生を諦めたとき、人生に諦められたとき、

そして本当にすべてが終わるその時なのだろう


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