『僕の彼女』

ぽふ、

第1話

僕の彼女は、さっきから、くるくると指で前髪を弄んでいる。

リビングのソファにすわってテレビを見ている。

にぎやかな、芸能人たちが集まった、お祭りのような番組だ。


僕は台所でりんごをむいて、そんな彼女をずっと見ていた。


安物のりんごが好きだという。

スーパーで安く出回っているときの王林を好んで食べる。

買って帰ると早速むいてとせがまれた。


朝食は目玉焼きだった。僕は半熟が好きだ。

ぷるんとした白身を割って、黄身の部分がとろりと少しだけ流れ出るのがいい。

それはゆで卵でも言えること。


一方彼女はというと、すこし固めがいいらしい。

ぱさぱさの黄身に、日によって、マヨネーズをかけたり、わさびじょうゆをかけたりして、かきまぜて、こってりした味わいを楽しんでいる。


夏は冷製スープに体を潤し、冬は温かいスープで体を芯から温める。

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