アクアウォール

しかし、彼らの努力は一瞬にして泡となって消えてしまった。


それは、近接戦闘兵の演習が終わった後、魔術師部隊の方の演習が開始された。


もちろん、アインもこちらのほうに力を入れており、まさか近接戦闘兵であそこまで心が折れていると思っていないアインは、ここでどうにかしなくてはいけないとも思っていた。


「われら魔術師部隊。

演習を開始する。」


まず、魔術師部隊は、相手の心を一回油断させるために、初級で、しかも弱い魔法からはなっていった。


しかし、たったそれだけでも認識違いが起こっていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ほう?すべての魔術師が上級魔法を使えるのか…」


正直、彼らに関しては、国のトップということで、そこまで武に関しては詳しくない。


だが、それでもどのくらいの魔法がどのくらいのランクかというのは、戦争は、魔術師の練習風景で知っている。


だから、バルバロット帝国兵の使った初級魔法は、普通の初級魔法よりも圧倒的に多くの魔力が込められている性で、上級魔法と勘違いをしたのだ。


「しかし、これくらいなら、こちらでもできますな。」


「ああ、さすがにすべての魔術師が上級魔法を使うことはできないが、それでも上級魔法を使えるものはいるし、それに、こちらにはもっと上の魔法を使えるものもいる。」


上級魔法というのは、この世界に存在している一番上の魔法ではない。


だからこそ、敵側の同盟の中でも、上級以上の魔法を使えるものがいるのだ。


それに、バルバロット帝国の性で過小評価されていそうだが、敵の同盟は普通に強い。


それは、大陸でも近年武力によって力をつけてきた国同士の集まりだからだ。


しかし、バルバロット帝国兵がもっと強い魔法を使い始めたらどうなってしまうだろう。


現状、初級魔法を上級魔法だと思い込んでいる彼らたちの前で、上級魔法を使ったらどうなるだろう。


それは火を見るよりも明らかだった。


「な、なんだあれは!」


バルバロット帝国兵が上級魔法を使い始めた瞬間、彼らの余裕というのは、どこか彼方へと消えていってしまった。


バルバロット帝国兵が最初に使ったのは、アクアウォール。


簡単に言ってしまえば、水の壁を作り出し、その水で相手を包み込み動けなくする。


そして、そのまま肺活量の少ないものは窒息死するし、もしも呼吸をしなくても少しの間なら耐えられる人がいたら、動けなくなっている間に、電気系統の魔法を使って、だんだんと殺していく。


つまり、直接的には全然攻撃用の魔法ではないのだ。


しかし今彼らが使っているのは、規模が違う。


内陸から外に向かって打っているが、もしも内陸側に売っていれば、この島ごとすべてを丸のみにしてしまうであろうような規模だった。


「これはまずいぞ…もしもあの規模の魔法に条件がなかったら、我々の国なんか、数人の魔術師で水没されてしまう…」


こうして、どんどんと、衝撃を与えていくのだった。


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