第452話謎の男


その変化は、彼の体がだんだんと形が変わっていくものだった。


「な、なんだ?」


さすがに体が変化し続ける人を持っているほどの勇気はなく、兵たちはいったん、脱走兵を置いた。


そして、変化が終わった時、彼は全く別人となっていた。


「ふ~。久しぶりだな…」


その姿は、前までとは違い、貴族特有のぜい肉はなくなっており、前まで以上に引き締まった体になっていた。


「うん?なんだこの状況は?」


彼は、現状が分かっていないらしく、本当に困っていた。


「貴様は誰だ?」


兵は、いきなり貴族と入れ替わりのように現れた彼に対して、正体を聞き出した。


「俺か?まぁ、言ってしまえば職人だな。」


「職人だと?」


「ああ、主に武器職人だ。まぁ、作るものは大体売れきれるけどな。」


彼には、職人としての自信があるのか、基本的に驕るようなしゃべり方だった。


「それにしても、この状況は何なのだ?生まれ変わった瞬間に、こんなに多くの兵に囲まれているとは…」


「ここは、応急の王の私室だ。どうなっているんだ。さっきまでの人間はどこに行ったのだ!?」


「さっきまでの人間?ああ、触媒のことか。」


「触媒だと?」


「ああ、まぁ、俺の装備を使っていたんだろうな。

俺の装備は見合っていない奴が使うと、力は出るが、その代わりに精神をやられてしまう。

しかも、使い続けてしまえば、俺の触媒となって俺の復活の材料になる。

安心しろ、俺は別に敵対する気はないからな。」


「そんなこと言われたって、信じられるか!」


実際、この話が本当だとしたら、彼の装備によってこんな驚異的な敵ができてしまったのだ。


ここで彼を放してしまえば、また装備を作ってしまうだろう。


そして、その装備を勝ってしまった人が今回のような騒動を起こす可能性もある。


「生まれ変わったばかりの君にはわからないかもしれないが、君の装備のせいで、私たちは結構振り回されてしまったのだ。

だからこそ、普通に暮らすのならともかく、装備を作り始めようとするのなら、私たちはここで君を捕まえなければならない。」


「なるほどね…つまりは、俺の触媒が何かしらの問題を起こしたのか。」


「そういうことだ。」


「なるほどなるほど、それはすまないことをしたな。

しかし、俺もこれを一生続けると決めたからには、やめられないんだ。」


「せめて、他の大陸でやってくれないか??」


「ほかの大陸?」


「ああ、実はこの土地は、海にある大きな島みたいなもので、他にも同じくらいの大きな島がいくつもあるんだ。」


「なるほどな…しかし、そんなに簡単に移るのもつらいんだよな。

ということで、抵抗させてもらってもいいか?」


「なんだと!」


「安心しろ、負けたらしっかりと、よその大陸?ってとこに行くからよ。」


「もしも勝ったら?」


「俺はこの大陸のどこかで販売を続けさせてもらう。幸いにも力を求めるものは多いだろうからな。」


そう言って、兵が謎の職人に襲い掛かったところで第2試合が始まったのだった。




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