第444話裏どり
そしてついに、大群の足音が聞こえてきた。
これは、アインの聴力がよいのではなく、普通に聞こえるくらい近づいてきていたのだった。
「さて、どうしようかな。」
普通にいけば、このままアインの兵をぶつけてもいいのだが、それだけでは、これから出てくるかもしれない反乱軍を少なくすることができるのかわからなかったのだった。
「そうだ!」
そして、アインは、一つの作戦を考えた。
それは、彼らの被害を大きくすることだった。
この戦いの後にも、反乱軍が出てくる可能性があるだろう。
しかし、そんな反乱軍にいちいち付き合っているような暇はない。
だからこそ、この戦いで、彼らには犠牲になってもらって、そのあとに出てくるかもしれない、反乱軍候補に、あきらめの心を持たせようとしたのだった。
だからこそ、今回の戦いでは、派手な敗北のほうがいい。
派手な敗北でなければ、まだ自分にもできるかもという希望を持つかもしれない。
しかし、派手な敗北だったら、バルバロット軍の力も分かって、そんな無謀な作戦を考えるようなことはないだろう。
「と、いうことで、今回は転移か、待機で、相手の後方に向かってくれ。」
実際に、彼らが城壁につく頃には、彼らよりも後ろに、アインの兵はいた。
そして、城壁に関しては、バルバロット軍の魔法によって、限界まで強化されていて、なかなか突破されることはなかった。
しかし、問題もある。
それは、城壁に使われている材料だ。
材料によって、耐えられる魔力量というのは決まっている。
そして、アインは自分で作ったりして、超大量の魔力を注ぎ込まれても、建材が壊れないようにしている。
しかし、この国ではそうではない。
もともと、城壁というのは、本当に壁の役割を果たすためのものであって、これで進軍を止めるつもりはもともとなかった。
それに、貴重な魔法使いの魔力を、こんな防衛なんかで使うことは本来、考えられないようなことだったのだ。
「しかし、我々には、魔法使いが大量にいる」
魔法使いになるために必要なことというのはとくにはない。
才能というものはあるが、それでも、しっかりと鍛錬さえすれば、才能がある人よりは弱いが、それでもしっかりと魔法を使うことができる。
「それでは潜伏兵たちよ。今こそ相手の軍を包囲しろ!!」
アインがそういうと、王城の壁を交代交代で壊していた兵たちの後ろに、アインのバルバロット帝国兵が大量に出てきた。
実際には、そこまで大量ではないのだが、それでも魔法使いの人数としては異常なほど多くいた。
しかし、中には、魔法騎士というものもいる。
なので、魔法を使えるのだが、腰に剣を指している人のそれなりの数がいた。
「な、なんだこいつら!?」
「いったいどこから現れた!」
そんな反乱軍の声が聞こえているが、それでも着々と戦闘は開始されていったのだった。
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