第424話移動方法
適当に、持っていける物を持った彼は、そのまま他の領へと逃げることにした。
自身の最高の部下を失ってしまったが、それでも彼は、しっかりと他の貴族の場所などは覚えていたので、基本的に自分に好意的だった貴族の元へ行くのだった。
(しかし、これをどうしようか…)
彼がそう思いながら見たのは、自身が大量に持っているアイテムだった。
(正直、これの効果は分からないから、どれだけ便利かも分からない。
しかし、簡単に売ってしまっては、もしかすると、超レアアイテムが入っているかもしれないのに、それを相手にだまされて安値で売ってしまう可能性もある…)
自身が、部下を1人失ってでも手に入れたアイテムに関しては、しっかりとした価格で買い取ってもらいたいと思っていた。
(しかし、ここは彼の最後の言葉を聞き届けて、王都へ向かったほうが良いのか?)
彼の従者は、王都に向かうことを強く押していた。
そんな彼の最後の遺言のようなそれを信じるべきかと、彼は悩んでいたのだった。
しかし、それは彼がいることが前提の話だった。
そもそも、王都では彼が基本的に動き回って、アイテムを売る算段になっていた。
そのため、今王都に行ってしまえば、自分がアイテムを買い取ってもらわなくてはいけないし、それに、ばれる可能性も大きく上がるのだった。
(さすがに、彼を失った今、この作戦は出来ないな。)
結果として、自身のみを案じた結果、彼は仲のよい領主の元へ行くことにした。
しかし、この選択が最も良かったのかは分からない。
彼の行く領に、彼のアイテムを性格に鑑定できるものがいるかも分からないし、それに、それを買い取れるだけの金を持っている商人がいるかも分からない。
しかし、その分だけ王族に見つかるリスクは少なく出来ただろう。
彼自身も、自身にそう言い聞かせて、アイテムが高値で売れないかもしれないが、それでも、自身が王族に見つかる可能性は下がったんだ。
と、自身に言い聞かせていた。
実際、彼が今から行こうとしている領には、王族はない。
それに、王族によって命令を出されている諜報員なども、特にはいなかった。
(は、早く行かなくては。)
当初のプラントはだいぶ変わってしまったせいで、馬車での移動が出来なくなっている。
幸いにも、彼が幼少のころに、教育として馬術を少しだけ営んでいたので、馬に乗って移動することが出来ていた。
しかし、大量の荷物を持った人を、1匹の馬で長距離を長時間運転することなんか出来る訳が無いので、休憩も、多くなっていたので、結構時間がかかってしまうのだ。
そこで問題となったのは、食料だ。
彼自身の食料もそうだし、馬の食料が必要だ。
馬なんか、餌をあげないでただ働きさせていたら、逃げてしまう。
だからこそ、どこかで食料調達をしなくてはいけなかった。
(しょうがない。近くの村で少しだけものを買っていくか。)
もちろん、しばらく金が入ってこないことが分かっていた彼は、事前にお金を少しだけ持ってきてあったので、普通にその街で買い物をして、ついでにその村の宿に泊まることにした。
そして、この村への来客は、夕方に他にもあったのだった…
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