第349話番外編 発展
「よいしょ。」
そう言いながら、王は中から、黒金貨15枚を取り出した。
「こ、これは…!」
「ええ、本当に、私も驚きましたよ。」
机の上には光り輝く黒金貨15枚があった。
「く、黒金貨…黒金貨…」
王は黒金貨とつぶやくだけになってしまった。
しかも、他の2人も、黒金貨のショックが大きかったのか、しゃべれなかった。
「王、ショックが大きいのは分かりますが、それよりも、この黒金貨の使い道を…」
「ああ、そうだったな。ええ、ああ、うん。」
王はまだ心の整理が出来ていないようで、現状でも言葉がうまく出てきていなかった。
そして数分後…
「よ、よし、まだ心の整理は出来ていないけど、とりあえず、少しだけ落ち着くことができた。」
王の心の整理が出来たところで、会議は再開された。
「それで、この黒金貨はどういうことなんだ?」
「ええ、私も少し調子に乗って、最初に割り当てられた領地を渡すことと引き換えに、黒金貨10枚って言ったのです。
そしたら、アイン殿がそれじゃあ、15枚出そうといってきて、結果的に黒金貨15枚ということになったのです。」
「アイン殿はどうしてそんな事をしたのか…まぁ、感謝するしかないな。」
「ええ、それで、この黒金貨の使い道はどうするのですか?」
「実は、この黒金貨15枚というのは、大国の年間予算と同じくらいなんだよ。だから、私たちも、ここ数年は、少しだけ国を豊かにすることに使うか?」
「そうですね、この黒金貨15枚を今までどおり使っていけば、75年は普通にいけますが、このまま発展しなくては、今回の戦争に参加した意味もありませんしね。」
「ああ、だから、これからは国内の強化のために、お金を使っていくぞ!」
そして、この会議から数日後、この国にはいろいろな政策が導入された。
街の整備をしたり、王都から離れている街の大量の資金を送ったり、道路を整備したり、国内の見せに対して、資金を渡し、経済が周るようにしていった。
そして、一番大きな政策は…
「どうだ?完成は出来そうか?」
「王様、俺たち大工を頼ってくれるのはうれしいけど、いくら何でも、時間がかかってしまうぜ?」
「他国から、援軍を呼ぶか?」
「出来るだけ早く完成させたほうが良いなら、そうしてもらいたい。」
「分かった。」
この国の大工は今、皆同じ作業をしている。
その作業とは…
「それにしても、いきなりこんなに大量に街を作るんですね。」
「ああ、会ったほうが便利だからな。それに、最近は人口に対して、家も少なくなってきていたし、良いだろう。」
この国は、街と街の間に結構長い平原があった。
城内の人たちも、せっかくの土地がもったいないとは思っていたが、お金が無かったので、何もできていなかったのだ。
そこで、今回お金が大量に入ったので、街を作ることにしたのだった。
「それにしても、現状、小国ということで、街が15個しかないこの国の街を、25個にするとは…これで他の国よりも、結構強くなれたのでは?」
「そうだな。それじゃあ、引き続き、工事をがんばってくれ。」
「了解です!」
そして、王は、他の工事現場にも足を運んでいくのであった。
この後、街が完成してからは、非同盟国からの大量の移民がやってきた。
最初は、王も3個くらい街を作れば良いかな?と思っていたのだが、現状、移民だけで5個の街を使っている状態だ。
それでも、街が5個残っていたので、そこには各街から希望者を呼んで、少しのお金と一緒に、引越しをしてもらった。
こうして、この国は国土はまだ小国レベルだが、人口と、国の技術は、大国の一番下らへんに食い込むことが出来たのだった。
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