第347話金による割譲
「よし、これでしばらくは何もしなくて良いな。」
「ええ、しばらくは各国の兵にがんばってもらいましょう。」
その後は、アインは特に動かず、各国の兵が敵の兵を蹴散らして行った。
(まぁ、人数の差もあるし、しょうがないことか。)
人数でも、武器でもこちらのほうが勝っていたので、戦争は速め早めに終結しそうだった。
そして・・・
「アイン様、敵国の王が降伏を表明しました。」
「準備をしすぎたかな?」
戦争はたったの2日で終わって、結果としては、アインの兵を呼んでおく必要が無かったのかもしれなかった。
(まぁ、死傷者が少ない状態で、降伏してくれたことには感謝しないとな。)
敵も、この戦争に勝つことは無理だと判断していたようで、あまり戦闘が起きないまま、降伏を認めた。
(さて、ここからが本当の問題だ。)
アインが問題だと思うのは、この後の戦争の報酬を山分けするところだった。
正直アインも最低限欲しいものはあったので、ここから本気を出すことにした。
そして、数日後…
「今日はお集まりいただき、感謝します。これより、今回の戦争の報酬についての会議を始めます。
まずは、各国の欲しいものを、もらえるだろうという範囲でお答えください。」
アインはそういうと、各国の反応は2手に分かれた。
まず、今回戦った国と国境が接している国は、国の領土の割譲。
そして、国と面していない国は、賠償金を求めた。
「それでは、まず、簡単に今回の戦った2国を5等分した図を用意しました。これからは各国が交渉をして、他の国が持っている割譲の範囲を決めてください。」
「5等分だと?それではあまり戦っていない貴国に有利すぎないか?」
「安心してください。この図の中で私の国が割譲しようとしている範囲は、ほとんどが不毛な土地です。それに、貴方たち4国よりは少し小さくしてありますよ。」
実際、アインが今回作った図の中では、現状アインが割譲を出来る場所は、もともとの国が困るくらいの不毛な土地だったのだった。
「そうか…まぁ、いい。それで、交渉の方法はどうするのだ?」
「まず、今回の交渉が聞こえてしまっては困ると思うので、今回は個室を用意しました。
そして、何とか交渉相手をその個室の中に呼んで、交渉を開始してください。
また、個室の中は魔法が綱得ないようになっているので、変な気を起こさないように…
それでは、開始します!」
そういうと、一斉に各国が交渉を開始した。
それはアインも同様で、賠償金を求めた国の中で、タートの国と面しているほうの国を割譲できるようになっている国の代表を呼んだ。
「交渉ということですが、どのような?」
「単刀直入にいます。貴方が持っている割譲できる範囲の全てをください。」
アインは交渉が簡単に出来るように、この国の割譲できる範囲を最初から、タート側だけの土地にしてあったのだった。
「ほう?それはまた大胆な…それで、いくらくらいで買っていくのですか?」
「言い値で…」
「そうですか…では、10黒金貨というのは?」
正直、この額は異常だった。
小国にとって、10黒金貨もあれば、50年は安泰。なので、この国の代表の人も、下げられるの覚悟で言って、その後少しずつ下げていこうとしていた。
しかし…
「分かった。それで言い。いや、こちらがお願いをしているのだから、15黒金貨でいこう。」
アインはそれを上回る額を提示した。
「・・・・・・・・・は?」
これには、相手の国の代表も動揺を隠せなかった。
「だから、15黒金貨で良いですか?」
「は、はい。」
「それでは、今回の交渉はここまでということで…」
その後、アインはもう1つの国のほうとも交渉した。
しかし、こちらはタートと面していた国の土地をそこまでもっていなかったので、3黒金貨で、タートと面していたほうの国の土地を買い占めて、そこからは各国の交渉の終了をずっと待っていたのである。
ちなみに、最初に交渉をした国の代表も、ずっと、会議室で待っていた。
彼もわかっていたのだ。他の国にこれ以上の額を提示できる訳がないことを…
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