第313話狙いはただ一つ


(さて、こういうときは、あまり自分から突っ込まないほうがいいんだろうけど、僕のほうが長期戦になればなるほど不利なんだよな…)


そう、アインは現在、魔法によって身体能力を底上げしている状態なので、時間がたてばたつほど、アインにとっては不利になっていくのだった。


(仕方ない…攻めるか…)


そして、アインは、弱くて小さな魔法を放った。


それは、地面の砂を風で巻き上げるという小さな効果しか生み出さなかったが、それがアインにとっては大きく働いた。


(目くらまし…そして)


アインは、自分の周りが砂で覆われたことを確認すると、横に向かって、風の魔法を使用した。


これは、シオドーラから見ると、アインが砂煙の中から、横に向かったように見えて、シオドーラはそっちの方向に走ってしまった。


しかし、数秒後にはアインじゃなくて、風によるものだと気づき、振り返ったが、そこには、いつの間にか装備を変えていたアインの姿があった。


(当たれ!)


アインは手にとある装備をつけて攻撃をしたが、その拳は、シオドーラの左腕で受け止められてしまった。


「危なかった。しかし、もう目くらましは効かないぜ?」


そして、シオドーラは構えを取ろうとして1つの違和感に気づいた。


(あ?左腕がうごかねぇ。)


そう、さっきのアインがはめていた武器は、攻撃力を上げるものではなく、あたった場所の神経を一時的に停止させる武器だったのだった。


「くっ!右手に当たってくれたほうがよかったんだが…」


シオドーラの攻撃は基本的に右手で行われる。


左手も頻繁に使うが、それは基本的に防御のときにのみ使われていたのだった。


(まぁ、良い。あれでシオドーラは防御能力が減った。少し卑怯だが、あれを使うか。)


そして、アインはまた自分の武器を変えた。


今度は2本の剣を取り出したが、両方ともさっきの剣とは違っていた。


(片方は少し卑怯かもしれないけど、まぁ、ここはなんとしてでも勝たなきゃいけないしな。しょうがない。)


アインはそんな事を考えながら、シオドーラに向かって剣を突き出した。


しかし、そんな見え見えの攻撃を食らってやる訳も無く、シオドーラは後ろに下がって、その攻撃をかわした。


(行ける!伸びろ。)


アインが突き出した剣は、いきなり三節棍のつなぎ目がチェーンになったもののようになり、どんどんと、剣が伸びていった。


そして、それはシオドーラのアキレス腱を斬って、シオドーラはその場から動けなくなってしまった。


「これで終わりだ!」


そして、アインはさっきの拳に着けていたものと同じ効果を持った剣だった。


そして、それで、シオドーラの手が届かない範囲からアインは頭を斬りつけた。


この剣には、殺傷性はまったく無く、当ててもあまり痛くない代わりに、当てた箇所の神経をいったん止める。


この瞬間、頭をやられたシオドーラは意識を失っていった。


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