第279話強者は語らない
主催者は出来るだけ、重くならないで、簡単に話が終わるようにしたかったのだが、周りの人がそれを許さなかった。
「一位だと?そんな分けないだろ!」
「ええ、だって、今まで参加もしていなかった国がいきなり1位になるわけが無いじゃない。」
そう、アインは去年までは参加すらしていない国の主。つまり、本当に1位になっているとしたら、この1年間で全ての国を追い抜いたことになる。
「だって仕方ないじゃん。いろいろな情報を集めて、各国で比べてみても、彼の国が一番なんだから…」
主催者にとっても、説明がしづらく、アインの今年の活躍は、実際に見ていないと信じられないくらいめまぐるしいものだった。
「彼の国が1位ね…まぁいいんじゃない?」
「は?何言ってんの?」
そして、アインの国を否定する派とどうでもよい派が出てきた。
「だって、僕にとっては、この会議は暇つぶしなんだもん。正直、どことも戦争をする気も無いから、どこの国が1位になっても関係ないんだよね。」
どうでもよい派で、一番多かったのは、戦争をする気がなく、別に新入りに抜かされたくらいで起こらないような温厚な王が多かった。
「そうではない。新入りがこの1年で1位になっていることに違和感は覚えないのか!」
そういっているものがいたが、そこはゼアリード王が。
「まぁ、私は違和感を覚えないかな。近くで見てきたし。」
ゼアリード王がそう言うと、突っかかってくる者も、もちろん現れた。
「それはどういうことだ?それではまるで前々から知っていたようではないか。」
「まぁな。いろいろな事情があって、彼の国のことについては知っている。」
さすがに、自分が国を与えたら、いつの間にか抜かされていたなんてことは言えないので、いろいろな理由と言っていた。
「僕は彼の国がこの会議に参加する事にはとっても賛成だよ?」
「パワード王まで…」
パワード、アインの国の貿易国で、アイン信者の1人。そんな彼がアインが会議に参加することに賛成なのは分かりきっていたようなものだった。
「確かに、確かに若干プライドは傷つくが、彼の国が強いことは主催者が証明してくれているんだ。俺も、別に彼が参加しても言いと思うな。」
こうして、各国の王が、自分の意思を持ち始め、結果的には、若干否定派が多い形になった。
「やはりだめだ!この会議は俺たち古株が仕切り、ランキングも上位には古株がいるべきなんだ。」
この、世界会議というものが始まったころからいた国にとってはアインはとても不愉快な国であった。
そして…
「そうだそうだ!それに、俺たちと一緒の時期に入ったのに、何でお前だけが上位に行けるんだ!ずるいぞ!」
こう言って来る新入り国もいた。
そして、討論はどんどんヒートアップして行って、冷静な人も少なくなっていった。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
ここで、1つの現象が起きた。
今、討論をしているのはアインの国を含めた上位5国以外。
つまり、上位5国は何もしゃべっていないのだ。
「よし。」
そして、アインが久しぶりにしゃべった事によって、いったん討論は止まった。
「君たちが気づいていたかは分からないが、上位5国はまったくしゃべっていなかった…これの意味が分かるかい?」
アインは少し挑発的に言った。そしたら、やはり何人かは怒ってきた。
「何言ってんだ!そんな話今はどうでもいいだろ!」
「そうだね。君たちが話している内容もね。だって…」
そして、アインは上位5国が「早くしろよ。」と心の中で思っていたことを言った。
「…そんなに気に食わないのに、何で誰も僕相手には言わないのかな?戦争…しようか?」
アインがその言葉を発した後、数秒は静寂が訪れた。
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