第255話3回戦目の開始


そして、この攻防はすぐに差が広がっていった。


「所詮はこの程度の力ですか…」


そういいながらセノヴァは簡単にグリムの攻撃を受け流していた。


「狂化しているあなたに言ったところで無駄でしょうが、私の力はあなた以上です。具体的には、あなたの倍ですね。」


この、憤怒の力は相手の2倍の力になるというもの。集団戦では弱く見えるが、逆に集団戦のほうが強く、すねての敵の力を合計した上で2倍した力になることが出来るのだった。


「まぁ、自分で言うのもなんですが、あまり魔法使いには相性が良くない能力ですね。」


そして、そのまま一方的にセノヴァが攻撃をしていると、グリムの狂化は解けてしまった。


「あ、終わりましたか。」


「な、何故お前は死んでいないのだ?俺が狂化まで使ったんだぞ!」


「なるほど…なんとなく予想はしていましたが、狂化していたときの記憶は無いのですね?それでは分からないのも無理は無いでしょう。」


「そんなことを聞いているんじゃない!何故、お前は生きているのだ!?」


「それは簡単なことですよ。私が無傷であなたが傷を負っている。つまりはあなたは私に負けたのです。」


「そんなバカな!狂化でお前以上の早さも手に入れたこの私が、攻撃を食らう訳はない。つまり、憂鬱の能力は私には聞かなかったはずだ!」


「ええ、確かに憂鬱の能力ではあなたを倒していませんよ?だって、私は2体以上の悪魔と契約できましたから。」  


「何だって?そんな訳はない。だって俺は契約の瞬間に一緒に居たんだぞ。」


「ええ、私は召喚による契約ではなく、悪魔の紹介を通して、他の悪魔と知り合いましたから。」


「そうか…まぁ、良い。今回は勝ったしな。」


「なぜ、そういえるのですか?」


「入れ。大神官。」


グリムがそう言うと、部屋の中に大神官が入ってきた。


「なるほど、もう1人の最上級悪魔の契約者ですか…」


「グリム。何で上級悪魔の契約者にやられてんだよ。」


「ああ、どうやら、そいつの上級悪魔は特別製らしい。能力の強さだけでは最上級悪魔よりも強いぞ。」


「そんな悪魔が居たのか…まぁ、2対1になってしまえば関係ないか。」


「ああ、しかし、油断はするな?一気に叩き潰すぞ。」


そして、2人は連携しながら、セノヴァに襲い掛かった。


(はぁ~。何でこうなるんでしょうか?)


(何がですか?)


(この2人の連携はさすがに我々でも対処が出来ません。)


(そ、そんな~。)


(あ、我々というのは、憂鬱の私と憤怒の方ですよ?ですから、セノヴァ様はがんばって原初の悪魔に力を借りてください。)


(原初の悪魔なら勝てるの?)


(ええ、仮にも、悪魔界最強ですから。)


そして、セノヴァはハデスと連絡を取った。


(あ、あの~。少しお願いがあるのですが…)


(何でそんなにかしこまっているのですか?もっと堂々とお願いして良いのですよ?)


(そうでしょうか?まぁ、お願いというのは力を貸して欲しいということなのですが…)


(良いですけど、どんな相手なんですか?)


(最上級悪魔2体です。)


(…分かりました。それでは、力を送りますから自分でがんばってください。結構余裕を持たせたので、負けないとは思いますよ。)


そして、セノヴァは自分が力に満ち溢れていることに気が付いた。


「な、何なんだ?その光は?」


「僕にも良く分からないが、力が満ち溢れている。」


「ほう。あなたが強くなったのは分かりました…しかし、最上級悪魔2体がそんな強化ごときでどうにかなる相手だとは思うなよ!」


そして2人は再び襲い掛かってきた。


3回戦目である。


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