第203話時の長さ
そして、アインはダンサイに連れられ、応接室まで行った。
「アイン様、この部屋でお待ちください。しばらくすれば父上が来るはずです。」
「分かったよ。」
そして、アインが応接室で数分待っていると、外から話し声が聞こえてきた。
「何なんだ。いきなり応接室に呼んで?」
「分かりません。ただ、ダンサイ様がご当主様方を急いでこの部屋に向かわせてくれといっていましたので。」
「まぁ、ダンサイが言うなら、重要な客なんだろう。」
そして、グイン達はノックをして、部屋の中に入ってきた。
「こんにちは。」
「ああ、こんにちは。すまんが私はあなたが誰なのかが分からない。教えていただけないだろうか?」
「はぁ~。やっぱり分からなかったか。」
「何だ!?その態度は?」
僕がこういうと、長男であるセシルが態度が気に食わなかったのか、突っかかってきた。
「落ち着けセシルよ。もしもこの方が偉い人だったらどうするのだ?」
「大丈夫だよ、父上。僕はもうすぐ貴族になるから、自分よりも位の高い貴族の名前と顔はここ3年分は覚えている。少なくとも彼はここ3年では私たち伯爵家よりも位は高くないよ。」
「そうか…同じ伯爵であるものの顔を私が忘れる訳がないし、ますます分からなくなってしまった。教えてもらえないか?」
「はい。久しぶりです。お父様。」
「お父様だと?」
「父上、まさか隠し子が…」
「いや、いない。信じてくれ。」
「それではどういうことだ?」
「あれ?本当に忘れられていますか?アインですよ。」
「アインだと?アインは確かに私の息子だが、こんなに大きくなかったし、そもそも公爵なはずだから忙しくてここまでこれないと思うのだが…」
「はい。忙しくてここに来るのが遅くなってしまいました。」
「そ、それでは本当にアインなのか?」
「はい。」
「お、おう。それはめでたい。」
そして、グインは少しだけ涙ぐんでいた。
「セシル兄さんも久しぶりです。」
「なぜ、今帰ってきたんだ?」
「それはやっと時間ができたから…」
「今は、次期領主決定の期間だ。今帰ってきたということはお前も狙っているのか?次期領主を。」
「いえ、狙っていませんよ。ただ、本当に暇になったから帰ってきただけで…」
よく考えてみれば、元々兄はアインが領主になる前から勉強をしていて、全然アインとかかわりが無かったし、仲良くも無かったので、あまり弟が帰ってきてもうれしくは無く、次期領主を狙っている可能性すらあったので、少しの敵対心すら抱いていた。
「セシルよ。アインのことを信じてやれ。」
「しかし、父上。アインは数年前からいきなり公爵の名前の欄からいなくなりました。なので、公爵を何かしらの理由で辞めさせられ、ここの領主になるために帰ってきたのだと私は思います。」
「そんなことは無いよ。」
「どうだか。まぁ、いい。次期領主は俺だ。父上、私は内政の勉強をしてきますので、退室していただきます。」
そして、セシルは部屋から出て行った。
「すまんな。セシルは今、重要な時期でぴりぴりしているんだ。」
「大丈夫ですよ。」
「それよりも本当になんで来たんだ?帰ってきたのはうれしいが。」
「ああ、それについては、僕は他の兄弟よりも比較的早くに独り立ちしてしまいました。」
「息子の成長を感じられるんだ。してしまったなんて言うな。」
「はい。それで、親孝行が他の2人に比べてできていないなと思ったのですよ。」
「敬語もしなくて良いぞ。それで?」
「なので、少しの親孝行として、現金ではどうかと思ったけど、趣味を知らないから現金で親孝行をしようと思ったんだ。」
「そうか。そんなに思いつめなくても良いのに。」
「まぁ、受け取ってください。ここに100枚ありますから。」
「何!?まさか白金貨100枚じゃないだろうな。」
「はい。白金貨100枚じゃないですよ。」
「良かった。さすがに息子にそこまでの負担をさせる訳には行かないからな。」
「それじゃあ、中を見てください。」
そしてグインは公爵なら100金貨来るのか?と思いながら袋を空け、中に入っていた黒金貨100枚を見て、失神してしまった。
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